『安達としまむら』1話感想 雰囲気重視の本格派百合アニメ

3.5

『安達としまむら』第1話「制服ピンポン」感想です。

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1話あらすじ

授業をサボりがちな島村抱月は体育館の2階で、クラスメイトで授業をいつもサボっている安達桜と出逢った。2人はいつしか親しくなって、よく卓球をする仲になった。

ある日、島村が本屋で卓球の本を眺めていると友人の日野晶と永藤妙子がやってきた。3人で街を歩いていると、安達と鉢合わせる。島村が他の友人と一緒にいるのを安達が見るのは初めてだった。

翌日、安達と島村が卓球をしていると日野と永藤が訪ねてきた。安達は身の置き場のないような表情を浮かべていた。その翌日、安達は体育館に姿を見せなかった。

安達とは二度と会えなくなるのではと考えていた島村だったが、放課後に安達の方から声を掛けてきた。2人は一緒に帰るのだった。

雰囲気重視の百合アニメ

原作は未読。原作は入間人間のライトノベル。入間人間の作品はいくつか読んだことがあるけど、独特な表現で人間の感情を描くのが特徴の作家だと思う。今回も「人間関係は素潜りのようだ」というような作者らしい表現がいくつか見られた。宇宙人が出てきたのも作者の作品のモチーフだろう。

どっからどう見ても百合アニメだけど、こういうタイプの百合アニメは『やがて君になる』でかなり完成されたような気がする。個人的には『やが君』は小糸侑に甘える七海燈子がどうしても好きになれず、アニメ自体は好きではないものの、演出やアニメの空気感などはすごく評価しているし、好きになる人が多いのも肯ける。

そこで『安達としまむら』になるのだが、このアニメも同じく雰囲気重視の百合アニメだと思う。モノローグを中心にストーリーが進んでいって、比較的ゆったりと時間が流れる。作画も綺麗。主人公の2人は私は好感が持てる。

安達が島村に友人がいるのを知って、淡い嫉妬心のような気まずくなるようなそんな感情に襲われたのもすごく共感できる。安達の心情を説明しすぎないところも、視聴者に想像させる余地を残していて良い。安達が翌日に体育館に来なかった理由を答えよ、とか島村に安達がわざと自転車をぶつけたときの心情を述べよとか現代文の試験に出てきそう。正解はひとつじゃないかもしれない。

ただ、演出には言いたいことがある。たまにサービスカットが挿入されるのがすごく気になる。安達がスカートを仰ぐシーンとか、体育座りをする安達と島村を下のアングルから舐めるように撮るシーンとかだ。男の視聴者を意識したような露骨な描写はこのアニメには似合わないと思う。そういうところで視聴者を惹きつけようとするのは、脚本の自信のなさの現れじゃないかと感じる。視聴者を意識せずに、安達と島村の2人だけの世界をしっかりと描いて欲しい

あとどうでもいいけど、安達が汗だくなのに島村がカーディガンを着てても汗ひとつかいてないのが違和感があった。まさか伏線じゃないと思うけど、静止絵が多いアニメだから些細なとこまで気になってしまう。

作品情報

イントロダクション

わたしと安達は体育館の2階で偶然知り合ったサボり仲間だ。一緒にピンポンしたりしなかったり程度の関係で、人付き合いは基本的に面倒だと思っているわたしにはちょうど良い距離だった。のだが、最近どうも安達の様子がおかしい。まるで人に興味のない猫みたいだったのに、犬っぽくなってきている気がする。安達に何かしたっけなあ…。そんな2人の関係が少しだけ変わっていくお話。

スタッフ・キャスト

スタッフ

原作:入間人間/KADOKAWA(電撃文庫刊) / イラスト:のん / 監督:桑原智 / シリーズ構成:大知慶一郎 / キャラクターデザイン:金子志津枝 / 総作画監督:豊田暁子、氏家章雄、神谷美也子、森田莉奈、薄谷栄之 / 美術監督:斉藤雅巳 / プロップデザイン:加来哲郎、山田菜都美 / 色彩設計:油谷ゆみ / 撮影監督:志村豪(T2Studio) / 編集:内田渉(コンクエスト) / 音響監督:本山哲 / 音楽:田渕夏海、中村巴奈重、櫻井美希 / 音楽制作:日音 / アニメーション制作:手塚プロダクション

キャスト

安達:鬼頭明里 / しまむら:伊藤美来 / 日野:沼倉愛美 / 永藤:上田麗奈 / ヤシロ:佐伯伊織

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