『バビロン』第5話「告白」感想です。
前回あらすじ
齋開化の死の解放宣言から24時間後、国内では自殺者が急増していた。法務事務次官の瀬黒嘉文と東京地検部長の守永、正崎は対応を協議。64人に対する自殺教唆罪の適用を念頭に、警察と一体となって捜査し、齋の身柄を確保しようという方針に決まった。検察事務官の瀬黒陽麻を立ち合い事務官に迎え、捜査一課管理官の寅尾太隈とともに総力をあげて捜査に当たるも、自殺教唆に抵触するような痕跡は見つからなかった。また正崎は性犯罪に関する捜査班である第六強行班の筒井にも協力を頼み、曲世愛の素性や過去を調査。一連の事件には彼女の関与が濃厚であると踏んでいた。そして齋から新たなメッセージがインターネットにアップロードされる。そこには12日後の10月20日の新域域議選挙で自殺法の民意を問うというものだった。
5話あらすじ
曲世愛の過去を追って正崎と陽麻は、京都山科に住む曲世愛の叔父の坂部蔵主を尋ねた。坂部は曲世愛の中学時代のカウンセラーだった。
坂部は曲世を「悪い子」と表現した。曲世と会話をしただけの男子7人が全般性不安障害にかかるという事件があった。全員が曲世が怖いと証言していた。
坂部が曲世に出逢うと、その理由を一瞬で理解できた。それは曲世が過度に下等に限度を超えて魅惑的であり、一目見ただけで虜になってしまうような女性だったからだ。坂部は曲世に対する逃れられない罪悪感から、京都に移り住んだ。
域議選3日前。捜査が行き詰まり険しい顔をしていたところを見かねて、寅尾は正崎と陽麻を剣道に誘った。汗を流してリフレッシュできた正崎に、陽麻は正義と何かと問いかける。
そこに、齋開化から新たなメッセージが放送される。それは投票日前日10月19日午後6時に公開討論を行うといったものだった。齋が討論に出てくることを睨み、正崎は捜査班を2名に縮小し、残った人員は罪状班とし、自殺教唆の証拠をあげることに専念させた。
すると、正崎の元に筒井警部補から電話が掛かってきた。しかしその相手は曲世愛だった。電話が切られると同時に、筒井は道路上に飛び出して自殺した。
正義とはなにか
『バビロン』のひとつのテーマに「正義とは何か」と言うものがある。これに対して正崎は今回答えを出していた。正崎の考える正義とは「正義とは何かをずっと問い続けること」だった。
トートロジーのように感じるが、何が正義で何が悪なのかはオセロのように白黒付けられるものではない。だからこそ、刻々と変わる状況や倫理観の中で、常に自分で何が正しいかを考え続けなければいけないということだろう。真っ当な回答に感じるし、むしろこれが正義だと信じ切っている人の方が、危険な道に行ったときに修正が効かないので怖い。
過度に下等に限度を超えて魅惑的
今回お気に入りのフレーズ。そこまで言わしめる曲世愛が恐ろしい。ただ曲世がどうやって自殺教唆させてるのかというところは判然としなかった。坂部は「逃れられない罪悪感」があったと言ったが、それが自殺の引き金になっているのだろうか。
しかし逃れられない罪悪感は、相手の年齢が年齢だったからというのもあると思うので、大人の曲世愛に通じるものなのかはわからない。それに彼女と出会った人すべてが自殺しているのではない。現に正崎は生きているし、曲世に欲情したということもなかった。
選挙前日の公開討論
齋開化は選挙前日の公開討論を持ちかけた。代表者には齋開化が出てくると検察は予想しているようだが、もしかしたら曲世愛が出てくるのかもしれない。彼女の能力を使えば、民衆を煽動することは容易いだろうし、検察も齋の自殺教唆こそ捜査しているが、曲世の罪は明らかになっていないので、逮捕することもできない。
比較的リアルな内容の作品なので、あまり超人的な能力が出てくるのは好きじゃないのだが、曲世愛は得体のしれない力を持っていそうで、何が起きるのかわからない恐怖がある。
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