『バビロン』6話感想 齋開化の拉致作戦は正義なのか?

4.0

『バビロン』第6話「作戦」感想です。

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前回あらすじ

曲世愛の過去を追って正崎と陽麻は、山科に住む叔父の坂部蔵主を尋ねた。坂部は曲世を「悪い子」と表現した。彼女は中学時代で既に過度に下等に限度を超えて魅惑的であったからだ。坂部は曲世に対する逃れられない罪悪感を抱くまでになった。域議選3日前、齋開化から、投票日前日に公開討論を行うというメッセージが放送局に届く。齋が討論に出てくると睨み、正崎は捜査班を縮小、残った人員は罪状班とし、自殺教唆の証拠をあげることに専念させた。すると、正崎の元に筒井警部補から電話が掛かってくる。しかし電話の相手は曲世愛だった。電話が切られると同時に、筒井は道路上に飛び出して自殺した。

6話あらすじ

筒井の自殺にショックを隠せない正崎。九寺院はそんな正崎を優しく励ます。

域議選2日前。正崎は齋の自殺教唆の証拠を翌日までに上げることは不可能だと判断し、特別捜査本部を解散させる。そして、公開討論会終了後に齋を拉致するという強行案を提案する。捜査班は全員、正崎の作戦に乗った。

公開討論会当日。既存政党の代表者は様々な方法で自殺法反対の立場で齋を論破しようとするが、齋は詭弁と正論を織り交ぜながら、反論を躱していく。

そこで野丸が取った方法は、父親が自殺を仄かしていると動画サイトで訴えた男児をゲストに呼び、国民の感情に語りかける方法であった。域議員立候補の条件に年齢制限がないことを逆手にとって、男児を立候補させる。

ところが、その男児の父親は齋開化その人であった。

公開討論会の内容詳細

公開討論会は手に汗握る攻防だった。ひとつひとつ自殺法反対意見とそれに対する齋の反論を精査していきたい。

まず共有党は自殺増加による経済損失を訴えた。これに対して齋は、自殺法施行後に自殺が増えるとは限らないと反論し、実際に大麻解禁国では使用率が低いことを例に挙げた。

確かにオランダでは、他のEU諸国よりも使用率が低いのは事実だが、他国から使用するためにオランダを訪れる人が多いことや、安楽死合法化の国にツアーで訪れる人も大勢いることを考えると、自殺をするために新域を訪れる人が増えると考えられ、自殺は増えないというのは詭弁だろう。

公正党は自殺は道徳的にルール違反であり、信頼関係が崩壊すると訴えた。齋は、道徳は時代や社会によって変わるものであり、例として、同性愛は世間的に認められていると反論した。また、古代ローマでは自殺は許されていて、キリスト教的世界観で自殺の自由を奪われたと説いた。

これはそもそも公正党の意見がかなり漠然としているので、反論もいくらでもやりようがあると思われる。殺人ですら現代でも正当化されうる場所が存在する。信頼関係に関しては、別に自殺に限らず、現代社会でいつ他人に裏切られるかもわからない状況で、そもそも信頼などというのは薄氷のようなものなので、自殺解禁で大きく変化するというものでもあるまい。

民生党は、そもそも齋は自殺関与罪疑惑があり、域長にそぐわないと断罪した。これが齋にとって最も厳しい攻めだったように思える。彼もこのことに対して明確な反論はできなかった。

自明党の野丸は、人間は感情に左右されるので、自殺法の運用は必ず過ちを犯すと訴えた。齋は、逆に誤って自殺しないための法律と反論したが、誤りを犯さないというわけではないので、完全な反論にはなっていない。

齋の最大の作戦

野丸は男児を連れてきて国民の感情に訴えたが、この男児は齋の息子の太陽だった。齋は野丸とずっと接していて、彼が感情論に訴えてくるということを予想していたのだろう。そのために息子の動画も、彼が仕込んでいたものだし、選挙の年齢制限撤廃もそのためだと考えられる。

まあ男児が出てきた瞬間から、展開としては分かりやすかったので想像はついていたのだが、疑問なのは、野丸はその男児の素性を調べなかったのだろうか。民主党の永田メール問題並みに杜撰な作戦だったとしか言いようがない。

齋の拉致作戦は正義か?

正崎は齋の拉致作戦を強行することになった。彼らはそれが正義だと思って実行を決断したのだろうが、果たして本当にそれは正義なのだろうか

法律から言えば、齋は何の法も犯していない。一方で正崎の行為は完全なる犯罪行為である。また法律が無関係にしても、拉致は相手がいかなる誰であっても、いくら大義名分があっても、人権侵害であり、基本的には許される行為ではない。

正崎達は正義とは何か?を問う過程で、何が正義であるかを考え続けることが正義だと答えた。自殺法が正義でないと信じているから、それを止めるあらゆる手段は正義として正当化されると考えているのだろうけど、『バビロン』のテーマを追究するためにも、一度立ち止まって、本当に拉致行為は正義なのかを考えてほしかった。捜査員も陽麻ちゃんも、仲間を失ったとはいえ、そんな正崎を止めることなく従ったのは少し意外だった。

グダグダ長文を書いたが、何を言いたいかと言えば陽麻ちゃんが可愛すぎるということだ。名前で呼んでとかこれもう彼女だろ。あと正崎の奥さんも可愛すぎだろ。

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