『バビロン』12話(最終回)感想 全体を通しての感想

『バビロン』第12話(最終回)「終」感想です。

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前回あらすじ

G7が開幕。最大の議題は自殺法の是非についてであった。侃侃諤諤の議論の中、ウッド大統領は根源的な善悪とはなにかについて考えることが重要だと説き、サミット参加首脳全員がそれに乗った。様々な意見が交わされ、議論が煮詰まっていった頃、自殺法都市首脳会議に動きがあった。齋は会見で、ある女性が新域庁舎からの飛び降りを企図しているが踏ん切りがつかない。ウッド大統領との会話で、飛び降りるべきか降りないべきかを決定するというものだった。

12話あらすじ

正崎は女性が曲世愛の可能性を考慮し、自分が通訳に名乗り出るが、ハーディが彼を制止して通訳を買って出た。

その女性は高校時代にライブで知り合った男性と交際し結婚。第一子を設けたが、その子供が亡くなってしまった。その後、彼女は静かになってしまったと語った。

どうすれば良いか分からないと言う彼女に、ウッド大統領は「私も善いとは何か答えが出ない。答えが出るまで待ってほしい。善いと分かったら私も一緒に自殺する。」と答えた。女性は笑みを浮かべて待つことを選択した。

女性が救われ、歓喜に沸く会場。ウッド大統領は「善いとは続くこと」だと結論を出した。そのとき、インカムから声が聞こえてくる。声を聞いた大統領は会場を後にし、屋上へと駆けた。その声の主は曲世愛だった。

正崎は異変に気づき、通訳会場を除くと全員が自殺していた。曲世はG7の会場に潜んでいたのだ。正崎は大統領を追いかけて屋上に向かう。ウッド大統領は縁に立ち、今にも飛び降りようとせんばかりだった。正崎は銃を抜き、ウッド大統領を撃つ。大統領が自殺したときの世界の影響を考えての決断であった。

絶望する正崎の前に曲世が現れる。正崎は曲世に銃を向ける。銃声が響いた。

賛否ありそうな終わり方

どういう風に終わらせるのかなと楽しみにしていたがやっぱりバッドエンドだった。最後は正崎が自殺して終わったと私は解釈している。まあ正崎側の勝ち筋はほとんど見えなかったので、予想通りではあったため、7話のような衝撃はなかった。

最後はちょっと分かりにくかったが、善が続くこと、悪が終わることと定義したのに、「悪が続く」という矛盾が現れてきたということが一つの話のミソなのだと思う。ただ個人的には「善は続くこと」という定義自体に違和感があるので、あまり面白味を感じなかった。「終わらせることが善」となるケースだって沢山考えられるし、そうだとみんなが考えているからこそ世界中で安楽死や尊厳死が議論されているのだろう。その延長上の自殺法なのに、「善は続くこと」と言われても、そこに疑義が生じてきたから今の状況があるんじゃないかと思う。

善と悪が表裏一体となっていると暗示するのはいいのだが、大統領が安易に答えを出してしまったのは、少し興醒めだった。そもそもを言えば、自殺法は「自殺が可が不可か」という問題なので「善か悪か」の問題とは、そもそも違うのではないかと思う。自殺そのものは善でもないし悪でもない

また、曲世にとっては自殺法とかはどうでもよくて、正崎に勝利することだけが目的となっていたと考えられる。逆に言えば、正崎の並々ならぬ正義感がこのような事態を招いたとも言えるので、正崎は本当に善だったのか分からない。正崎に勝利した曲世は、次に正崎の息子をロックオンしたシーンで終わっていて、曲世の破壊衝動は相当に根深いものとなってしまった。

全体を通しての感想

7話までを第1部として考えると、第1部はかなり面白かったと思う。自殺法というセンセーショナルな議題をエンターテインメントとしてうまく昇華させていたし、7話の衝撃度はなかなか忘れがたい。一方で、第2部はスケールがかなり大きくなった割には、ほとんどを議論シーンに注ぎ込んでいたり、アニメとしては少し退屈なものになってしまった。

たぶん視聴者にも「自殺法に賛成か?反対か?」「善とは何か?」「生きるとは何か?」を一緒に考えて欲しくて、議論シーンが多くなったのだと思うのだが、もしそうなら最終話は、正崎が大統領に銃を構えたシーンで終わって、結末を視聴者に委ねるリドルストーリーにした方が良かったのではないかと思った。今のままだと、作者の答えがほとんど出ちゃってるので、視聴者に考える余地があまりない。

また曲世愛のキャラクターは魅力的なのだが、能力がチートすぎて化け物にしか途中から思えなかった。曲世がいないとこのアニメの魅力は半減してしまうとは思うけど、曲世がいるせいで、齋がどうやって世論を掌握していくのかという部分の面白味がなくなったと思う。喩えるなら、将棋の試合を観てたのに、曲世が出てきていきなり盤をひっくり返されたような感じだった。

作品としては意欲的な作品なんだけど、結局何をしたかったのかよく分からなかった。曲世愛という純粋な悪を描きたかったのか、善や悪について視聴者に議論させたかったのか、自殺の是非について問題提起したかったのか。原作がまだ完結していないので、中途半端な作品になったのだったら、原作完結後にアニメ化した方が良かったんじゃないかと思う。私の想像ではたぶん原作完結後も結局なんだったんだ?となりそうな気もしてるが。

コメント

  1. しゅりりん より:

    自分は昨日この作品をAmazonプライムで一気に観たのですが、感想はここに書かれていることとほぼ同じです。
    「善は続く」という答えに対する違和感。議論パートもおまけのように感じてしまうくらいのチート能力。
    しかし自分はこの曲世愛の背徳的な能力に凄い魅力を感じてしまって、曲世愛が好き勝手やってくれればいいという方向に興味が切り替わってました。
    善悪の結論を一番気にしていた人にとってはイマイチな結果かもしれませんが、曲世愛に魅入られた人にとっては申し分ない最後だったと思います。
    今でも曲世愛の能力にかかった人の感覚がどんなものなのか気になって仕方がありません。
    長文失礼しました。

  2. 最後まで見て後悔 より:

    Amazonプライムで一気に見ました。
    原作は見てないので申し訳ないですが
    アニメは終わるならしっかりと終わらせて欲しかったですね

    曖昧で意味不明で「自殺法」も戯言の如く後味悪い作品
    サスペンス要素ゼロ結局化け物じみた人間らしき得体の知れないものの無双アニメ

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