『デカダンス』第7話「driveshaft」感想です。
前回あらすじ
カブラギはバグ矯正施設とは名ばかりの永久に脱出できない奴隷施設へと送還された。絶望していたカブラギだったが、同僚のサルフジから、施設からデカダンスにログインできるという話を聞く。そのログイン設備を管理していたのは、かつての仲間のドナテロとターキーだった。カブラギはログインの権利を賭け、デスダイブゲームを受ける。ゲームはほぼ同士討ちとなり、カブラギを認めたドナテロはログイン設備へと案内するのだった。
7話あらすじ
カブラギがログインするとデカダンスはちょうど戦闘中だった。デカダンスの装甲に大穴が開き、そこからガドルが侵入して、タンカーを攻撃していた。
カブラギは慣れない素体でガドルと戦う。ナツメも戦闘に参加しており、カブラギは久々にナツメの姿を見た。カブラギはデカダンスで何が起こっているのかをミナトに問いただす。
ミナトによると、デカダンス内のタンカーが増えすぎているため、人口を調整するためにわざとガドルを侵入させ、タンカーを襲わせているのだという。一方で、ナツメはデカダンスに開いた大穴を塞ごうとタンカーの協力を仰ぐため東奔西走していた。しかし誰もがガドルの恐怖に怯えて協力してもらえず、親友のフェイにも疎まれてしまう。
落ち込むナツメだったが、タンカーのみんなは再び考え直し、ナツメに協力を申し出た。カブラギはナツメに正体を隠したまま接触。どうしようもない運命になんとか抗おうとするナツメの姿を見て、カブラギは怒りに震える。
施設に戻ったカブラギはドナテロにガドルの一緒に完全殲滅を目指さないかと提案する。その作戦はガドルの生産工場の破壊であった。
フェイの気持ちに共感
デカダンスに大きな穴が開いた。『ガンダム』の1話でサイド7にザクIIが侵入してくるシーンを彷彿とさせた。タンカーにとっては文字通りの死活問題だが、ギアにとっては単なるイベントに過ぎず、ギアの「今日はギリだったな」「だから面白いんだろ?」というモブの台詞がすごくずっしりと来る。
「私は変われたよ」という創価学会の勧誘みたいなセリフを言ったナツメに対して、「自分が間違っているような気持ちになった」と反論したフェイの気持ちがすごく分かる。自分で自分の未来を決めるがテーマのアニメでは、変わるっていうことが無条件に正しいことのような印象を受けてしまうけど、変わらないことが大事なときもあるし、変わらないという意見も尊重すべきだと思う。
今回のケースで言えば、タンカーはタンカーらしくしていればギアの庇護のもとにある程度安定した暮らしをすることが予想できるので、わざわざ自ら危険を晒して穴を塞ぎに行かないのは、なんらおかしいことでもない。特にタンカーはサイボーグに支配されていることを知らないので、ギアに任せておけば大丈夫と考える人がいても当然だと思う。
むしろ、その後に解体工の人もフェイたちもナツメに協力するとすぐに変節した方に違和感があった。フェイも本来は変わりたいと思っていたのだろうが、協力すると決断した感情の変化の部分に何があったのかをちゃんと描いて欲しかったと思う。解体工の方はまだなんとなく分かるが、フェイの方は、そんなにすぐに気持ちを変えられないのではと思う。リンメイも考えていた様子はあったが、彼女も今までの言動からすれば、基本的にはフェイと同意見のはずだし。
前回いきなりステージが変わったことについて、ナツメやクレナイが自分の世界に疑いを持つようになったのではと思ったが、そんな素振りはなかった。まあ現実に起きえないことが発生したら、世界を疑うよりも幻覚だったのだろうかと自分を疑ってしまうものかもしれないが。ナツメたちが世界に懐疑的になるエピソードも見たかった。
カブラギがナツメに伝えたかったこと
カブラギがナツメに伝えたかったことは、ナツメのおかげで自分が救われたという感謝の気持ちだった。しかしナツメは終わらない戦いへの自分の無力さに涙し、カブラギはシステムに反旗を翻して、ガドルの殲滅を決心する。
どういう方法で殲滅するのかと思ったらガドル生産工場の破壊のようだ。なるほどなとは思ったのだが、一度工場が破壊されてもまた建て直されれば、同じことの繰り返しになってしまわないかと思ってしまう。システムを乗っとるようなクーデターではないと完全なるタンカーの解放はできないと思う。あと、タンカーはオキソンに頼った生活をしているが、ガドルが存在しなくなるだけに止まった場合、オキソンをタンカーに直接渡さない限りは、より危機に晒されるのではないかという気もする。工場を破壊しためでたしめでたしで終わりそうには思えない。
カブラギがスクラップにならないように、システムに横槍を入れたのはミナトだと判明したので、彼がカブラギの行動に賛同するかどうかがクーデターが上手くいくかどうかの鍵になっているかもしれない。
コメント