『富豪刑事 Balance:UNLIMITED』第11話(最終回)「輝くものすべて金にあらず」感想です。
前回あらすじ
加藤と神戸は救命艇で脱出を試みるも失敗。鈴江はタンカーの動力源にアドリウムが使われていることを突き止め、神戸と加藤は機関室へと向かった。そこに再びフランツが現れる。加藤は神戸の言葉で銃を持つ手の震えが止まり、冷却ユニットの破壊に成功。フランツを逮捕する。沈没する船のブリッジで、神戸は茂丸と再会。茂丸はヒュスクを操り、逃亡するのだった。
11話あらすじ
加藤と神戸も研究所へと向かった。茂丸の姿はなかったが、そこで隠し扉を発見し、その中に神戸家本邸への直通シャトルを発見する。茂丸の正体は神戸家内部の人物であると判明した。
茂丸は執事の服部が変装した姿だった。服部は喜久子の指示で小百合を手に掛けていた。喜久子はアドリウムという危険な技術を世界に公表することに反対しており、小百合を止めるための行動だった。服部と加藤は乱闘になり、加藤が太腿に銃撃を受けながらも、服部を逮捕する。神戸はアドリウムの技術を世界に公表する予定で、鈴江にその準備を託していたが、喜久子の話でいったん思い止まる。
ところが、何も知らない満身創痍の加藤がスイッチを押したことで全世界にアドリウムの情報が送信。神戸は吹っ切れたように笑い、加藤の行動を受け入れ、喜久子を逮捕した。
事件後、神戸家は世間のバッシングに遭ったが、神戸と加藤はアドリウムの違法な取引を行なっている犯罪者を取り締まるため、世界を股にかけ活動し続けるのだった。
真犯人は喜久子と服部
真犯人は喜久子と服部だった。前回の感想で、やっぱり茂丸は生きていたのかと書いたけど、そっちの方が間違いで、8話の感想で書いていた「服部二郎が真犯人ではないか」という方が正しかった。完全に後出しだけど、流石に茂丸が生きてるのはアンフェアすぎると思ったんだよなあ。8話までの情報で推理できたというのはミステリー作品においては欠点ではなく、フェアプレー精神の遵守なので、むしろ美点に挙げられるべきだろう。
決め手になったのは利き手の違いだったが、これは全く気付いてなかった。アニメのミステリーにはよく使われる伏線で、作品の名前は出さないけど、最近のミステリーアニメにも使われていた。まあそのアニメと『富豪刑事』とは、制作陣的な繋がりもあるので、ネタの使い回しとも言えるけど、それは大きな問題でもない。
服部が実行犯なら喜久子が黒幕というのは誰でも想像する流れで、実際その通りになった。もう残りの登場人物が鈴江さんくらいしかいないから必然的な展開だった。警官にあるまじき行為をしていた神戸が、最後に警官として喜久子を逮捕するというのが見せどころだろう。そんな神戸を加藤も認めていた。
ラストのCパートは第1話と同じ展開をなぞるという演出。神戸が加藤に手を差し伸べることで、関係性の変化が見えるが、結局その手を引っ込めるのがこのアニメらしい。いい結末だと思ったけど、1話のシーンを間に挟む演出はくどいからいらない。1話が放送されたのが約半年前だから、思い出してもらうために、あえて追加したのかもしれないけど。
全体を通しての感想
序盤はコミカルな話が多くて、神戸がとにかく金にものを言わせて解決。加藤がそれに巻き込まれるというドタバタコメディーだったけど、中盤以降は一気にシリアスに舵を切って、途中は主要な人物を退場までさせた。ここは賛否ありそうなところで、個人的には前半のコミカルな話の方が、私が想像する『富豪刑事』らしさがあって好き。特に、4話の神戸と加藤が一つ屋根の下で一夜を共にする話はお気に入りだし、この『富豪刑事』にボーイズラブ的な要素を期待して見始めた方の期待通りの回だったのではないかと思う。
しかしながら、シリアスな方が好きな人もいるかもしれないので一概にはいえない。ただシリアスが好きな人の中には、序盤のドタバタコメディで視聴をやめた人も多くいそうでもったいない。作品の良し悪しは別にして商業的には、1話の雰囲気を途中ちょっと外れることはあっても、一応最後まで踏襲するのがセオリーだとは思う。
また、シリアスになるにつれて金の使い方も近未来的なガジェット開発に傾いていって、富豪刑事ではなくSF刑事と言う方が実態を表していた。金をガジェット開発に使うのが許されると、とにかく金で解決という部分の面白味がなくなってしまう。アプリ「グルットナ」のように面白い使い方もあったので、その路線で事件を解決して欲しかった。
神戸大助や鈴江、現対本部のメンバーなんかは良いキャラクターだった。特に鈴江はかわいくて大好き。でも主人公のはずの加藤の出番が少なかったのが残念。終盤でタンカーで神戸を助けるなどの見せ場は当然あったけど、中盤は加藤よりも長さんの方が目立っていた。神戸と加藤の活躍を中心に描いて、お互いが信頼していく過程をもっと細かく見たかった。まあとにかく、コロナ禍で放送延期になったけど無事に最後まで放送できてよかったと思う。
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