『GREAT PRETENDER(グレートプリテンダー)』第13話「CASE_3 Snow of London」感想です。
前回あらすじ
コールマンは自分の欲しい絵を、愛人のファラ・ブラウンに買わせ、美術コレクションを作っていた。コールマンは手に入れた「ロンドンの雪」をファラに落札させようと目論んでいたが、ローランが高額で落札。彼の計画は、取り戻しにきたコールマンに贋作を売りつけるというものだった。シンシアはかつてカフェで働いていた。そこに画家志望のトーマス・メイヤーが来店。2人は自然と惹かれあっていった。ある日、偶然コールマンが通りかかった。彼はトーマスの才能を認めたが、それは画家としてではなく、贋作画家としてだった。
13話あらすじ
エダマメがトーマスに協力を頼みに行くと、ガラの悪い男たちに取り囲まれる。トーマスには200万ポンドもの借金があり、借金取りに追われていた。
トーマスはコールマンに贋作画家としての才能を認められ、彼がパトロンとなり、未発見の名画の贋作を描く仕事を与えられた。コールマンはその贋作を真作だと発表し名声を高めていった。
トーマスは金も手に入れ、画家としての矜持も失い、性格も変わっていった。そんなトーマスにシンシアは別れを告げて去っていった。
トーマスはその後、自分のしたことが美術界や芸術を志す子供たちを裏切る行為だと思い直し、描いた贋作を全て自費で買い戻した。借金はその際に作ったものだった。
詐欺に加担することや贋作を再び描くことを躊躇っていたトーマスだったが、エダマメはシンシアの想いを告げ、再びトーマスは筆を取った。書き上げたのは真筆と見紛うばかりの「ロンドンの雪」であった。
再び贋作制作に向き合うトーマス
前回の感想で「コールマンに関しては特に悪行を働いてないからターゲットにするにはコンフィデンスマン的に大丈夫か」と書いたけど、しっかり悪いことをしてた。やっぱり贋作を売ってたんだな。そして、トーマスは再び贋作制作に向き合うことになるのだけど、ここの気持ちの変化があまり納得できなかった。
自分の過去の罪を悔いて、多額の借金までこしらえて罪を償ったのにもかかわらず、シンシアとエダマメの説得で再び贋作を描き、しかもそれをかつてコールマンがやったように詐欺に使用するというのはちょっと納得できないものがあった。
一応過去の贋作制作は自分の私欲のためにやっていたけど、今回の贋作制作はシンシアのためにやるという違いはあるかもしれない。今でもシンシアに対して愛情を持っているのだろうし、シンシアもトーマスに対して同じ気持ちでいるのだろうということは伝わってくる。それでも、贋作に手を出しちゃうというのは何か違う気がする。
トーマスが模写ではなく、新作のモントーヤの画風をコピーした絵を描いて、それをローランたちの口八丁手八丁でコールマンに売りつけるみたいな展開はダメだったのだろうか。これならトーマスの絵画の腕でもコールマンに一泡吹かせることができるし、トーマスはモントーヤの画風を真似たオリジナルを制作して、勝手にコールマンが勘違いしたのだから、贋作には当たらない。
ただ、エダマメも結局は詐欺師の才能からは逃れられなかったように、トーマスも贋作画家としての才能からは逃れられないというのが暗示されているのだろうか。第2章で空から離れられなかったルイスや、生からは逃れられないアビーもそうだけど、『グレプリ』は登場人物の宿命が交差する物語なのかもしれない。
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