『星合の空』12話(最終回)感想 未完のまま終了も作品としては一応完結している

3.5

『星合の空』第12話(最終回)感想です。

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前回あらすじ

日下部の速いサーブと高身長を活かした広い守備範囲と振り下ろされるスマッシュに序盤は翻弄される眞紀と柊真だったが、日下部のワンマンチームであることを見抜き、大友にボールを集めると、焦った日下部がミスを連発してしまう。そのまま眞紀と柊真ペアの勝利。ソフトテニス部は初の勝利であった。眞紀柊真ペアはその勢いのまま、大井西中学、馬込北中学のペアにも勝利。3回戦へと駒を進める。対戦相手は全国チャンピオンの五瀬兄弟ペアだった。2人はいきなり圧倒的な強さを見せる。

12話あらすじ

五瀬ペアの圧倒的な実力にされるがままの眞紀と柊真は早々と2ゲームを失ってしまう。しかし2人はまだ諦めていなかった。前衛と後衛をスイッチングしていく戦法で食らいついていく。

徐々に五瀬ペアの打球の速さにも慣れていき、芯でボールを捉えることができてきた。巻き返していく眞紀柊真ペアに五瀬兄弟は焦燥感に駆られていき、ミスを連発。ファイナルゲームへともつれ込む。

五瀬兄弟は互いに頬をビンタし、気合を入れ直す。目が覚めた五瀬ペアは息を吹き返し、眞紀と柊真を追い込んでいく。そして渾身のサーブが決まり、眞紀柊真ペアは善戦むなしく敗北した。

試合後、柊真は兄の涼真に電話を掛けるが、出たのは柊真の母親だった。3回戦まで進んだことを報告すると、柊真の母は離婚を報告し、柊真のことを憎んでいたと告げるのだった。

眞紀は家に帰ると、璋が家にいた。そして分厚い封筒が置かれていた。眞紀は父親の京終が存在する限り幸せが脅かされると、包丁を持って京終の家を訪れる。

最後はぶつ切りで終了

さて、なかなかの問題作となってしまった。どう考えても話数が足りないなと思っていたのだが、やっぱり元々2クールだったらしい。それで本来は24話まであるのだが、24話分を1クールに作り替えることなく12話を放送したようだ。以下は監督の赤根秀樹さんのツイートを引用。

「星合の空」は今日の12話でテレビでの放送は終わりとなりました。しかし物語にはまだ続きがあり、キャラクターたちのドラマはこの後更に動いていきます。本来は全24話の物語で、3ヶ月後にもう1クールを放送して完結する予定でしたので12話に直結する13話が存在します。

今年の春に急遽全12話の放送に変更となりましたが、この作品は2年以上かけて構成を作った経緯もあるし、本編の作画作業も進んでいたので今から12話構成にするのは無理があると判断し、24話構成のまま12話まで作ることにしました。

この作品は通常のアニメとは違う物にしたいとの思いもありましたので、これもまた「星合の空」らしい放送の終わり方かも知れません。自分としては後12話分のお話を作り、眞己や柊真達の未来を皆さんにお見せする機会を与えて欲しいと思っています。

今はメディア自体も変化の真っ只中にあると思うので、星合の空がどのようになるかを見ていただければ面白いかとも思います。今まで星合の空を見ていただいた皆さんに続編が実現できるように応援していただけると嬉しいです。

まあ簡単に言えば、円盤が売れたら2期があって、24話までを放映したいなら円盤買ってねということだろう。

現状だと、テニスの試合は団体戦もあった(たぶんそっちがメイン)のに全くそれにも触れず、前回の感想で考察した眞紀や柊真が兄弟かどうかの謎も全く明かされていない。生徒たちの悩みも放置されたままで、むしろこれからさらにその部分を深化させていくはずだったと思うのに、新たな問題を起こした時点で終了になってしまった。眞紀は犯罪者だったとかいう異常な結末になってしまっている。

しかし、個人的にはこの終わり方はそんなに悪くないなと思っている。親と子の関係に関する悩みは子供が成人するまでは少なくとも解消するものではないと思うので、私はアニメの中で最後まで解決されなくてもいいと思っていた。逆に簡単に解決させてしまうとそれこそリアルじゃない。彼らたちが一時的な逃げ場所として、ソフトテニスがあればいい。似たような境遇の人が集まっているので傷を舐め合うのでもいいと思う。

実際にはそこまでも行かず、ここで完結とするなら、眞紀が事件を起こし、柊真は母親に見捨てられるという悲惨な結末になったが、それもある種のどうしようもない現実として実際にある。ハッピーエンドでは決してないが、全く幕切れできていないというわけではない。もちろん無理やり擁護しているわけでもない。まあ欲を言えば最終話は変更せずとも、細部を直して1クールでまとめて欲しかったが。

全体を通しての感想

最後が正規の終わり方ではないので、全体を通しての感想が書きにくいが、とりあえずテニスシーンは良い出来だったと思う。モーションキャプチャーを使っているので、体重移動や身体の動きなどすごくリアルで臨場感があった。カメラワークはもうちょっと工夫できただろうか。

ストーリーはまあ元々2クールの予定だったのもあるが、テニス部全員問題ありというのは少しやり過ぎだったと感じた。かなりとっ散らかった印象になった。あと全員が親子関係の問題というのも本来は何か意味があったのかもしれないが、単調に感じた。まあ中学生の悩みは大抵家庭にあるけれども、全員に悩みを持たせるのなら、家庭以外の悩みも出すべきだったと思う(一応LGBTというのはあるが)。

あとテニスの試合は、どうしても『テニスの王子様』のような超人バトルではないので仕方ないかもしれないが、展開が同じようなものに終始していたのは残念。ファイナルゲームにもつれ込んで結局負けるとか、作戦も似たような作戦だとか、飽きを感じた。

あと最初2クールの予定のままなら、私だったら2クール目に初勝利を描くのだが、最初から日下部に勝つ予定だったのだろうか。そのまま12話流したというがちょっと展開変えてるのでは?と思うところがいくつかあるのだが。特に後半は作画の乱れや静止画も目立ったので、手直ししていた形跡が感じられる。

途中ではダンスの盗作騒動もあり、順風満帆とは言い難いアニメになってしまったが、作中の人物も順風満帆ではなく『星合の空』らしいのかなとも思う。私は特に2クール目を希望しない。

コメント

  1. 藤尾不二夫 より:

    僕は、「二兎を追って一兎を得ず」な作品になりそうだな、と感じながら見ていたので、2クールであっても成功作とは言い難いものになっていたのでは?という気がします。ただ、こういう終わり方をすることで、「現代」をデフォルメしたフィクションに妙なリアリティを与えちゃったな、とも思います。僕の友人は、「あの終わり方で、寧ろ正解」と断言してます。理由は「現実の事件って、あんな(唐突)じゃないですか」。僕はそこまで肯定しないけど、話が回収されないで終わってしまうことでかえって登場人物の「その後」が気になる、というか、物語が終わったら消える「キャラクター」ではなく、その後も人生が続く「人間」に思えてくる。そういう錯覚を感じさせるぶん、2クールめを作っても蛇足の謎解き篇になりそうだから、これで終わりにしていいのかも。

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