『ID:INVADED イド:インヴェイデッド』4話感想 木を隠すには森の中

3.5

『ID:INVADED(イド:インヴェイデッド)』第4話「EXTENDED 燃えさかるビルの世界」感想です。

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前回あらすじ

通称「花火師」による連続爆破テロが発生していた。酒井戸は名探偵として花火師のイドへと潜る。そこは周りを瀑布に囲まれた塔の頂上だった。どこからともなく銃弾が飛来し、人々が次々と撃たれていく。酒井戸はとあるきっかけから、塔のギミックを解明し、犯人らしき男を探り当てる。捜査班の松岡は、爆発現場に舞い戻っていた犯人を発見、逮捕する。犯人は爆発そのものではなく、野次馬の狂気を撮影していた。ところが、酒井戸は花火師の本質は惨状が見たいだけであると看破するのだった。

4話あらすじ

酒井戸が「花火師」を追い詰める一部始終を見ていた「穴空き」は、酒井戸が捜査に協力していることを見抜き、酒井戸が懲罰房に入っている間、穴井戸として探偵活動を開始する。しかし、彼は探偵に向いていなかった。

人間を拉致して、ある場所に閉じ込め、弱っていく様子を動画サイトで配信する「墓掘り」による事件が相次いでいた。女子高生の菊池桂子が被害者となった事件では思念粒子を採取できたため、酒井戸がイドへと潜る。

そこは、燃え盛るビルに囲まれた世界であった。幼い頃の桂子がビルに閉じ込められており、酒井戸は彼女を救出するために、何度も炎に焼かれ帰還、再突入を繰り返す。

桂子の救出に成功すると、彼女は大野源平という旧知の人物の名前を出した。彼こそがこの事件の真犯人であり、墓掘りの模倣犯だったのだ。

捜査班の松岡と本堂町が犯人確保に向かうも、桂子は既に亡くなっていた。配信サイトの動画は生放送ではなく、録画だったのだ。肩を落とす捜査班だったが、本堂町はある怪しい人物を認める。後をつけると、その人物から本堂町に接触してきた。

木を隠すなら森の中

今回キーワードとなったのは「木を隠すなら森の中」という警句だろう。作中でもあったようにG・K・チェスタトンがブラウン神父シリーズの『折れた剣』の中で使用したのが最も有名である。正確には「木の葉を隠すなら森の中へ」である。

チェスタトンは「目立つから逆に目立たない」というような逆説の推理が有名な作家で、ブラウン神父シリーズはその代表作である。約100年前の作品ながら、今でも楽しめる短編がたくさんあるので、ミステリー好きにはぜひ読んでほしい。

この作品では、犯行を隠すなら連続殺人の中という意味で使われている。ただ、連続犯の中に模倣犯を紛れ込ませるというのは、あまりにも多くの作例があり、チェスタトンよりも、アガサ・クリスティーのある作品の方を思い出す人が多いと思う。

作中では、焼けたかえるちゃんを紛れ込ませるという構図が「木を隠すなら森の中」と類似しているために引き合いに出したものと思われる。つまり、かえるちゃんは火事(連続殺人)で焼けたわけではなく、別のところで焼かれて火事で焼けたように見せかけたということになり、模倣犯を暗示しているということになる。

ただ同種の事件が起こった時点で、模倣犯の可能性を警察は普通考えると思うし、桂子の周囲を洗うと思われるので、イドで何時間も費やしている時間で、一般的な捜査で大野源平が捜査上に浮かぶと思う。イドの捜査の優位性を見せるためにも数分で犯人を炙り出せたというストーリーにした方が良かったのではないか。

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