『ID:INVADED イド:インヴェイデッド』第9話「INSIDE-OUTED」感想です。
前回あらすじ
飛鳥井は勝山事件からの救出の3ヶ月後に失踪。同時期に関与不明の看護師集団昏睡事件が発生していたことが判明する。一方、聖井戸の救出のために、酒井戸と穴井戸がタッグを組み、百貴の自宅から検出された思念粒子から生成されたイドへと潜ることになった。そこは時間も静止した一面が砂漠の世界であった。名探偵ふたりは流砂に飲まれた何者かの亡骸を発見。そのそばにはコクピットが砂に埋まっていた。コクピットには同様に飛鳥井木記の名前があり、酒井戸が乗り込んだ。
9話あらすじ
酒井戸が目覚めると、そこにいたのは鳴瓢の妻の綾子と娘の椋だった。普通のイドの世界と異なり、鳴瓢は記憶を保持したままであった。その世界では、対マンによる連続殺人事件が現在進行形で発生していた。
鳴瓢は、自身の娘が被害者になるのを防ぐために対マン(勝山)の家へと乗り込む。鳴瓢の行動を不可解に思った百貴もついてきていた。壮絶な戦闘の末に、鳴瓢は勝山に勝利を収める。百貴は地下に放置されていた飛鳥井を救出する。
後日、鳴瓢は飛鳥井の病室を訪れる。そこに「顔剥ぎ」と呼ばれる男が襲撃を仕掛けてきた。鳴瓢が攻撃を加えると「顔剥ぎ」は消失した。実はそこは飛鳥井の夢の中であった。彼女は毎日夢の中で連続殺人犯の襲撃を受けていた。また周りの人物に自分の想像と同じ映像を見させてしまうという能力も持っていた。
夢から醒め、本来の世界(イドの中のイド)で鳴瓢は飛鳥井に再び面会する。犯人達が集まるようになったのはジョンウォーカーに出会ってからだと明かす飛鳥井。鳴瓢は彼女を悪夢から救うために、連続殺人犯を始末していくことを決意する。まず「顔剥ぎ」を始末したが、飛鳥井はその夜、夢の中で自傷に走ってしまうのだった。
多重構造の世界
世界の構造がかなり入り組んでいる。鳴瓢が入ったイドの中のイドの世界は、現実世界の過去をなぞっているように思うが、正確な過去の世界では当然なく、鳴瓢の望んだような世界になっている。また現実世界で妻と娘が助かったらのifの世界でもない。なぜなら、もし現実世界との整合性が取れているならば、鳴瓢が勝山に勝利した時点で、最後の被害者であったはずの飛鳥井が地下にいるわけはないからだ。
鳴瓢の望んだような世界と言ったが、それは偶然鳴瓢にとってそうなっているだけで、実際に鳴瓢が世界の構成に関与しているのかも不明である。個人的には、飛鳥井のあくまで深層世界でしかなく、鳴瓢にとって偶然居心地のいい世界なのではないかと思っているのだが。本堂町も同じ世界に存在しているはずで、両方が満足の行く世界が必ずしも両立できるわけではないだろうから。
またそのイドの中のイドの世界の中には、飛鳥井の夢の中の世界が存在する。この飛鳥井の夢の中では、毎回飛鳥井が何者かに亡き者にされている。そこではイドの中の世界と同じ展開(かえるちゃんが連続殺人犯にやられる)になっていることから、ミズハノメの開発に飛鳥井も何らかの関与があると考えられる。ミズハノメの奥底には失踪した飛鳥井が埋まっているのではとそういう想像をしてしまう。
連続殺人犯がいなくなれば、飛鳥井が悪夢から救われるのではと思い、鳴瓢は「顔剥ぎ」の始末に行ったのだが、結局飛鳥井は自傷してしまう。6話の井波のイドの世界でもかえるちゃんは自傷していたが、それは井波が直接的に手を下していない犯人だから、彼女が自傷するはめになったのだろう。また飛鳥井の他者に自分の想像と同じ映像を見させてしまうという能力は思念粒子とリンクするのかなあと思う。
そしてジョンウォーカーなのだが、彼は意図的に連続殺人犯を飛鳥井に巡り合わせているようだが、何の目的があってそうしているのかはまだ分からない。飛鳥井の能力を確認しようとしているのかとも思える。
ただ問題は、この世界はあくまでイドの中のイドの世界であり、現実とは異なる可能性も考えられることだろう。どこに現実があるのか分からなくなる胡蝶の夢のようなあやふやさというのも、このアニメの魅力のひとつでもある。
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