『啄木鳥探偵處』8話感想 園部環という魅力的な人物が登場

3.0

『啄木鳥探偵處』第8話「若きおとこ」感想です。

スポンサーリンク

前回あらすじ

朝日新聞の記者を騙る男が五千円を盗み出した。彼は紳士盗賊と呼ばれ、世間の耳目を集めたが、警察の地道な捜査で逮捕された。ところが、犯人は五千円の在処を頑として言わなかった。京助はタバコ屋の釣銭の二銭銅貨に切れ目を発見。その中には暗号の書かれた紙が入っていた。京助は平井太郎の助けを借り、暗号を解読。暗号の指し示す場所に行ってみると五千円を発見。ところが、その紙幣は偽札だった。実はすべては啄木が仕組んだ悪戯だったのだ。

8話あらすじ

啄木は体調を崩し、医者に診てもらった。結果は芳しいものではなく、啄木は塞ぎ込んでしまう。女中の加世が啄木に依頼を持ってきたが、啄木はそれを拒絶して、雨の中傘もささずに、外へ出て行ってしまった。

啄木は自殺を考えていた。そこに依頼主の園部環がやってくる。彼女の言葉に思うところがあった啄木は依頼を受けるために環の家を訪ねた。

環は蝙蝠人間と呼ばれた軽業師の鑑武実と仲睦まじい関係だったが、鑑は何者かに殺されてしまった。興行主の園部三郎を告発する手紙が発見され、犯人として逮捕されたが、証拠不十分により釈放された。ところが、鑑の弟を名乗る人物から、兄を殺した園部と環に復讐するという脅迫状が送られてきた。環は弟を止めるために啄木に依頼したのだった。

啄木と環は園部と弟が住んでいた家を訪ねた。すると弟とみられる男が窓から逃走するのを発見。啄木が追いかけるが、見失ってしまった。その数日後、環のもとに更に脅迫状が送られてきた。そこには、環の行動が子細に渡るまで書かれていた。

蝙蝠人間事件

これはネタバレにならないと思うが、史実の啄木は結核を患い、26歳という若さで夭逝している。『啄木鳥探偵處』の第1話の冒頭では、京助が啄木を懐かしむシーンがあったが、『啄木鳥探偵處』の最終話までに啄木は亡くなるのではないかと思う。ちなみに史実においては、友人の若山牧水に看取られている。

蝙蝠人間殺人事件だが、新キャラクターの環はなかなか魅力的な人物。私も最初は男性だと思っていたが、あまりに中性的なので実は女性ではないかと疑ってもいた。シャツを脱いであらわにするシーンは印象的だった。女性であることを明かすのと、赤の他人の啄木の前でも恥じらうことがないところに彼女の性格がよく現れていた。男女どっちでも取れるようなキャラクターデザインも優れていたと思う。

事件自体も魅力的で、環の行動が監視されているという気味の悪さや偏執さはミステリーらしい。本当に監視しているのなら、脅迫状なんか出さずに復讐を果たせばいいのに、そうしないところにケレン味がある。江戸川乱歩っぽさを感じた(たぶん参考にしたんだろうけど、ネタバレは避けます)。乱歩の雰囲気を感じたこともあり、屋根裏を見つめるシーンは『屋根裏の散歩者』を思い出した。

こういうミステリーは大抵犯人の自作自演なことが多い気がするのだが、犯人は環なのだろうか。環の行動を逐一観察できるということは、脅迫状は園部の自作自演という可能性もある気はするが、そんなことをする動機が分からない。

コメント

タイトルとURLをコピーしました