『啄木鳥探偵處』11話感想 野村胡堂と銭形平次のオマージュが素敵

3.0

『啄木鳥探偵處』第11話「逢魔が刻」感想です。

スポンサーリンク

前回あらすじ

環の死が追い討ちとなり、啄木はさらに窶れてしまった。啄木は心を入れ替えたように、友人からの借金を返済し始める。ところがそれも束の間、取材と称して京助から五円を借りるも放蕩三昧。友人を蔑ろにする啄木に、勇と朔太郎は堪忍袋の緒が切れる。啄木は自傷行為を行なうなど自暴自棄となり、牧水の幾山河の歌に焚きつけられ、誰にも告げず、自殺を目的に故郷の盛岡に向かった。そこに現れたのは京助だった。京助は啄木を優しく受け止め、優しく諭した。京助の無償の愛に感銘を受け、啄木は涙を流すのだった。

11話あらすじ

啄木は探偵依頼を新たに受けたが体調が優れず、京助に協力をお願いする。京助は朔太郎を誘い、依頼主の成田屋を訪ねた。

依頼内容は、1ヶ月前に拐かされた子供を捜して欲しいというものだった。子供の誘拐は町内の商家で5回目だという。最初は浦田屋の息子は2日で帰り、その後、美濃屋、原田園、須藤七兵衛商店と続いた。いずれも子供は帰っていたため、いつかは戻ってくるだろうと警察に届けずにいた。誘拐されるのは、2歳から3歳の子供ばかりだったが、成田屋の子供だけは1歳であった。

啄木は誘拐された店の頭文字を取ると「うらみはらすなり」となったため、今後誘拐事件は起きないと予想した。そこに成田屋に脅迫状が届いた。その内容は、巾着に三百円入れて丁稚に持たせ、仲見世通りに来いというものだった。京助と胡堂が監視する中、巾着はまんまと取られてしまったが、胡堂の活躍で犯人は逮捕。しかし犯人は誘拐事件に便乗しただけの美濃屋の主人だった。主人の話では、浦田屋にはお蝶という妾がおり、子供ができたときに縁を切った。お蝶は飴屋の橋本という男と結婚し、子供を身篭ったが、橋本は先日殺され、殺害時に牡丹の花札を握り締めていたという。

そこに成田屋の子供が戻ってくる。花札に牡丹には蝶が描かれているため、殺人犯はお蝶だと啄木は推理。さらに誘拐事件は、お蝶の子供と成田屋の子供を入れ替えるためであったと指摘した。

ダイイングメッセージもの

今回はいわゆるダイイングメッセージものだった。しかし、今時ダイイングメッセージだけで犯人を指摘するというミステリーはかなり厳しいものがある。このエピソードは原作にもあるので、20年以上前のミステリーだと考えれば、これでも仕方のないところかもしれないが。贅沢を言えば今風にブラッシュアップして欲しかった。

まあ、このエピソードの主はダイイングメッセージの部分ではなく子供のすり替えだろう。しかし、1歳とはいえ子供をすり替えられたら、流石に両親は気付くと思う。そもそもすり替える動機もいまいち理解できないし、町内の商店の頭文字を繋げたら、ちょうど文章になるというのも何だかご都合主義が極まっている感じを受ける。誘拐で子供のすり替えがあったら面白いなというアイデアを実現するために、ゴリ押しでストーリーを作った印象を受けた。

むしろすり替えのネタは日常の謎のような感じで、日記がすり替えられたとかそういう使い方の方が上手く料理できそうな気がした。1ヶ月も必要だったのは日記を書き写すために必要だったとか、すり替えた理由は犯人にとって都合の悪いことが書いてあったとか。この物語には合わないけど。

あと、台詞を聞いているだけでは分かりにくい単語が多かったことが気になった。一例を出せば「拐かす」は現代はあまり使わないし、「丁子の匂い」と言われてもピンとこない人が多いのではないか。丁子は香辛料の一種でクローブのこと。時代背景が明治時代なので古風な表現になることは仕方ないが、アニメは文字が基本的に出ないので、今でも使う言葉に入れ替えるなどの工夫はあってもいいかなと思った。

野村胡堂が犯人を取り押さえるときに、貨幣を投げたのは銭形平次のオマージュで、史実の胡堂は『銭形平次捕物控』という作品を残しているためだろう。すごく良いオマージュだった。

コメント

タイトルとURLをコピーしました