『無能なナナ』第2話「時間遡行」感想です。
前回あらすじ
能力者が人類の敵と戦う訓練をする施設が絶海の孤島にあった。中島ナナオはそこで無能だと虐められていた。新たに小野寺キョウヤと柊ナナが転校してくる。ナナは人の心が読める能力を持っているらしく、ナナオはたじろぎながらも徐々に仲良くなっていく。ある日、ひょんなことから飯島モグオが暴走し、特大の火球を同級生に向けて放ってしまう。そのピンチを救ったのはナナオだった。彼は能力を無効化する能力を持っていた。ナナオに感謝の気持ちを伝えるナナ。ところが、彼女はそのままナナオを崖の下へと投げ飛ばした。実は人類の敵というのは能力者自身のことで、ナナはそんな能力者を全て始末するために送り込まれた「無能力」の人間だったのだ。
2話あらすじ
渋沢ヨウヘイは正義感の強い男だった。彼の能力は時間遡行で、24時間以内までなら時間を遡ることができるというものだった。しかし、彼の能力には制約があった。それは、遡行後には体力を消耗すること、遡行先の場所は現在地と同じこと、遡行時に誰かと目が合うと現在に強制的に戻されるというものだった。
ナナは彼を暗殺しようと接近を試みる。しかしキョウヤはナナオがいなくなったことを訝しみ、ナナオと仲の良かったナナを疑っていた。ナナは話を変えることで追及を避けたが、ヨウヘイとナナオ失踪の謎を調査することになってしまう。
度重なる時間遡行で危うくナナが犯人だと突き止められそうになったために、夜にナナオが人類の敵に襲撃されたけど言い出せなかったと嘘をつき、ヨウヘイを誘き寄せ時間遡行をさせた。
その場所は朝にセイヤが一面を凍らせた湖の上で、泳げないヨウヘイは時間遡行した瞬間に水の底に沈み、氷漬けにされたのだった。
時間跳躍系能力は難しい
SF作品ではお馴染みのタイムリープで、アニメでもたくさん時間移動を扱ったものがあるけど、タイムパラドックスがあるから扱いが難しい。今回の話でもいくつか気になる箇所があった。
まずリープそのものの矛盾ではないのだけど、ヨウヘイは「目が合ったりしてはっきりと認識されるとダメな(現在に戻される)んです」と言っている。しかしナナがコップの水をわざとこぼしたときは、ナナはヨウヘイの目の前にいたんだから、ヨウヘイの存在を認識していたと考えられる。とはいえ「はっきり」という修飾語が付いているから、「はっきり」認識される前に水が溢れないように守ったと考えれば、一応辻褄は合うかもしれない。
またヨウヘイが遡行している間の記憶の繋がりも気になるところではあった。ナナがナナオを突き落としたときに、ヨウヘイと目が合っているなら、そのことをナナが覚えていなければおかしいのではと最初に視聴したときに思ったが、見返してみると、ナナがヨウヘイと崖の上にいるときに「いま記憶が書き換わった」と言っているので、ヨウヘイが歴史介入している間の出来事は基本的には観測者からは消失していて、ヨウヘイが遡行したときのできごとを観測者に伝えたその時点で、そのときの記憶が出現すると考えていいのだろう。つまりヨウヘイが遡行したことを誰にも伝えなければ、遡行前と遡行後には記憶の断絶があったということになり、ナナが覚えていないのもおかしなことではない。コップの水が溢れなかったことなども記憶の齟齬が疑うきっかけになっている。そのほかにも一度見ただけではガバガバなように感じたが、見返してみると設定が練られていて、矛盾を回避しており意外と侮れない。
ヨウヘイの暗殺方法も悪くなかった。ナナオが人類の敵に襲われたことをヨウヘイに告げていなかったと言って呼び出すのは、ちょっと無理矢理っぽかったし、その日の朝に課外学習で行った池を深夜とはいえ分からないというのはちょっとなとは思ったけど、カナヅチのヨウヘイを時間遡行した瞬間に過去の池に落とすというのは斬新。ヨウヘイの能力の制約を上手く活用した方法だったと思う。伏線の貼り方にもわざとらしさがなかった。
ナナの失敗
今回の話でナナは一つ失敗を犯していると思われる。キョウヤに髪を触られた際に、ナナは人の心が読めるという設定なのに、キョウヤになぜ髪の毛を触っているのかを聞いてしまっていた。キョウヤはナナの能力が人の心を読めるというものではないと気付いた可能性がある。
すぐにナナが能力者たちを始末していると分かるものではないものの、これでナナの近くにいた2人が続けて行方不明になったから、キョウヤはナナを今以上に疑うに違いない。
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