『無能なナナ』第7話「ネクロマンサー PART2」感想です。
前回あらすじ
ミチルはナナがナナオを崖から突き落としたとは露にも思わず、ナナに決定的な写真を渡してしまう。風間シンジとその恋人の佐々木ユウカはネクロマンシーと怪力という能力を持っていた。厄介な能力を疎んだナナは学校を抜け出し、シンジを暗殺する。さらに、ユウカも暗殺しようと試みたが、始末したはずのシンジに拘束されてしまう。実はネクロマンシー能力を持っているのはユウカの方で、シンジはずっと彼女が操っていたのだった。
7話あらすじ
ナナはクラスのリーダーである自分と変わり者のユウカのどちらが信用されるかと問いただし、さらにシンジの心の声を教えてあげると交換条件を出して拘束を解かせた。その隙にナナは逃亡する。
ところが、ユウカは森に散乱していた過去の能力者の屍を操り、ナナを追い詰めていく。ナナはユウカの能力を失わせる朝日が登るまで、廃屋に籠城を試みる。ユウカは逆に鍵を掛けてナナを閉じ込めた。
次の夜。再びユウカが廃屋に向かうとナナは消えていた。徹夜で探し回るもナナは見つからない。そして明け方。疲れてヘトヘトになったユウカをナナが襲う。ナナは籠城すると見せかけて、逆に廃屋の鍵をすぐに外せるように仕掛けをしていたのだ。
ユウカは実はシンジの恋人でもなく、シンジのストーカーだった。彼女はシンジが他の女子と仲良くしているのが許せず、映画館に放火をして、シンジはそれに巻き込まれて亡くなっていたのだった。ユウカを始末するナナだったが、彼女の心の中には冷酷な暗殺者にはあってはいけないはずの感情が芽生えつつあった。
ネクロマンサーとの決着
ユウカとの決着がついた。ナナの完全勝利というわけではなく、なんとかなったのは偶然のおかげでかなり危ない状況だった。ユウカは、最初にナナを拘束した時に、シンジの怪力で脚の一本でもへし折っておけば逃亡される心配もなかっただろうし、廃屋に籠城されたときも、次の夜を待たずに踏み込んでおけば普通に勝てた。太陽が出ている間は能力を使えないというユウカの制約が相当重いので、念のため次の夜を待ったということだろうが、むしろ昼間は実質的な無能力になることを考えると、あの場で決着を付けておくべきだと考える方がユウカからしてもリーズナブルなように思う。
ユウカが本当はシンジのストーカーで彼女が放火したという結末は意外性があって良かった。とはいえ彼女はすでに間接的に殺人を犯しているような凶悪な人物だから、ナナを逃してしまったり、廃屋の襲撃を翌朝に伸ばしたりした甘さが余計に違和感となってしまったような気はする。またナナを始末してしまえば、シンジの心の声をいつでも聞くことができるので、シンジのためなら放火も辞さない彼女がナナをあえて解放したのは変に映る。まあ聞いたところでユウカにとって嬉しいものでは絶対ないが。
しかし、ここで大事なのはナナに少しずつ優しさというか温情が芽生えていることだろう。今までなんの罪もない人物を多数始末してきたのに、今回はユウカが悪人か善人かを確かめようとしていた。変わった原因のひとつは、島に多数の能力者の屍があることを知って、自分の任務や機関の指示に疑問を抱いたということがあるのだろう。もうひとつは純粋無垢なミチルや他の能力者と接して、極悪非道だと思っていた能力者も、他の人間となにも変わらないということを意識したからというのもあるかもしれない。これから先も能力者を始末していくにあたって、この良心の呵責のような感情が枷となっていくような展開もありそうだ。
ユウカの出番はこれで終わりになるだろうが、個人的には今まで出てきた中で一番好きなキャラクターだった。見た目は可愛らしいのに歪んだ愛に生きるというギャップが良かったし、キャラクターが立っていて魅力的だったと思う。今まで出てきた能力者の中で飛び抜けてクズだろうけど、なんだか憎めない。富田美憂さんの声と演技も良かったと思う。
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