『ソマリと森の神様』第6話「息の根はる花は鳥を仰ぐ」感想です。
前回あらすじ
ゴーレムとソマリは火口に作られた宿場町・サカズキ村へと辿り着く。そこでハラピュイア族のウゾイとファルコホル族のハイトラに出会う。ハイトラは実は人間で、彼女達は治療のために旅をしていた。治療には人間が必要で、ソマリを利用しようと企んでいた。龍の巻風やスナノフカに襲われながらも洞窟へと辿り着き、夜を明かすことに。ウゾイは隙を見てソマリに襲いかかる。ハイトラは彼女の行為を止めて欲しいとゴーレムの助けを求めるのだった。
6話あらすじ
ソマリは叫び声で怯んだウゾイの隙をついて逃げ出した。ウゾイはすぐに追いつくが、ソマリは池に落下してしまう。ウゾイは彼女を見捨てることができずに救出する。
そこにゴーレムとハイトラが合流。ソマリはウゾイを責めないでくれという懇願する。ウゾイはやり場のない思いにハイトラに顔を埋めて号泣するのだった。
その夜、ゴーレムはハイトラから真実を聞く。ハイトラは元々数少ない人間同士が集まって集落を作っていたが、そこを他種族に焼き討ちされてしまった。辛くも逃げ出したハイトラの一家だったが、食べるものもなく、また他種族への怒りからハラピュイア族の女性を撲殺してしまう。
しかしその肉は禁忌だった。ハイトラは妻と娘を失った。そこに現れたのは幼いウゾイだった。彼女はハイトラを慕うが、実は撲殺した女性の娘であった。ウゾイはその話を密かに聞いていた。
再び砂漠をいく一行の前に龍の巻風が襲う。ウゾイとソマリは飛ばされ、カケアシドリに襲われる。ハイトラは懺悔の気持ちから自身が囮になった。そんなハイトラにウゾイは、生きて罪を償えと泣きながら叱責するのだった。
落差のある鬱展開
5話まではソマリとゴーレムのハートフルなアニメという感じだったが、6話で急にダークな展開を挟んできた。ハイトラの側頭部にある羽はなんなのだろうかとずっと疑問だったが、それはハラピュイア族を食べたためであったとは。しかもその娘がウゾイだったというのはなおさら衝撃的だった。
ハイトラがウゾイを抱きしめられなかったシーンは、彼のそのような負い目がよく表現されていた。最終的にウゾイはハイトラに生きて罪を償えと言い、抱き合うことができたが、率直な感想を言えば、ウゾイは優しすぎると思う。
ハイトラは確かに人外に村を追われ、仲間を何人も失ったが、それをやったのはハラピュイア族ではないので、ウゾイにとってみれば完全なるとばっちりでしかない。夜、ハイトラが過去を吐露するのを聞いたその瞬間に飛びかかってもおかしくない。
ハイトラの死をもって償おうとする姿勢に、ここで復讐を果たそうとしてしまえば、ハイトラを許したことに実質的になってしまうので、逆にウゾイは許さないということを表明するために、生きて償えと言ったのかもしれないとも思ったのだが、それでも普通だったらハイトラと旅を続けたくはないと思うんだけどな。
ハイトラの村を襲ったのがハラピュイア族だったということにすれば、どちらにも負い目があることになるから、まだ対等な関係を続けられたかもしれないけどなあ。ストーリー的には不満があったものの、早見沙織さんの演技は流石だなと思った。
今回は「禁断の果実」や「審判の日」などキリスト教的な単語が頻回に使われていたのは興味深かった。ハイトラは人間なので、村で生活していたときはキリスト教を信仰していたのかなと想像をかき立てられた。
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