『ソマリと森の神様』第12話(最終回)「心繋ぎ合う親子」感想です。
前回あらすじ
用心棒の仕事もひと段落。その夜、人狩りの集団が宿へ襲来する。ソマリ達はローザおばさんに教えてもらった抜け道を使って逃亡するも、石橋は破壊されており、先に行くためにゴーレムは残り少ない力を使ってしまう。そこにローザおばさんがやってきて、ソマリ達を閉じ込めてしまう。ローザおばさんは人間の過去の悪事を語り、ソマリはショックを受けて動けなくなってしまう。ゴーレムはソマリを護ろうとするが、力尽きてしまうのだった。
12話あらすじ
覚醒したゴーレムは暴走を始める。ローザおばさんらを見境なく攻撃していき、止めに入ったヤバシラもその対象となった。
ソマリは身を挺してゴーレムを止めに入る。ソマリの声が届き、ゴーレムは暴走を停止。ソマリの頭を撫でて、その場に倒れ込んだ。
ゴーレムは目を覚ましたものの、身体の損傷は大きく日常生活にも支障をきたすほどだった。消滅までの時間も不明なほど短くなり、ソマリとの別れを覚悟するようになる。
次の街では、収穫祭が開かれていた。そこでは先祖の魂を迎える儀式が行われていた。ソマリが催し物に夢中になっていると、いつの間にかゴーレムは姿を消していた。
ゴーレムを追いかけて、ソマリは湖畔に辿り着く。ゴーレムはソマリに別れを告げるが、ソマリは号泣してゴーレムの身体に縋る。ソマリの想いに感情を揺さぶられたゴーレムは、最期のときまでソマリと一緒にいると決心するのだった。
終わり方に不満
原作が存在していて、その原作はまだ終わっていないので結末をどうするか難しかったのではと思う。しかし、別れでもなく奇跡が起こったわけでもなく、ただ結論を先延ばしにしたような終わり方だった。
ソマリが大人になれば、ゴーレムとの別れも受け入れられるかもしれないが、今の状態だと確実に、ソマリが大人になる前にゴーレムが活動停止してしまうから、同じことの繰り返しになってしまうだけじゃないかと思う。ソマリにとっては、覚悟するための時間が持たせてあげられるだけマシという感じなのだろうか。
陳腐な展開だけど、ハッピーエンドにするなら、ソマリに何か特殊な能力があってゴーレムが回復するとかでも良かった気がするんだけどな。個人的には、ソマリとゴーレムの別れを描いて欲しかった。それはゴーレムが活動停止するエンドではなく、ちゃんとソマリの仲間に会わせることができた結果の別れでもいい。せっかくのアニメオリジナル展開なのに、中途半端になったのが勿体ないと思う。ソマリがゴーレムを追いかけるシーンが、最初の出会いのシーンをなぞっているので、同じ展開で出会いと別れを描くのかと途中まで感心していたんだけどなあ。
全体を通しての感想
まず背景が綺麗だったのは良かった。第1話が始まったときの、森のビビッドな色彩に淡い光が降り注ぐ背景には、どんな物語が始まるのかとワクワクした。また、ソマリの旅を通して、色んな種族の様々な生活様式を覗き見られるのも楽しかった。
中盤まで癒し系のアニメだったけど、終盤にかけてシリアス展開になったのは賛否両論ありそうだが、個人的には嫌いではない。人種差別について、色んな種族が住む世界を描くことで問題提起していたのは、今の時代に合っていて考えさせられた。
また最初は(申し訳ないけど)水瀬いのり(ソマリ)の演技がうるさいなと思っていたけど、シリアス展開が増えるにつれて、彼女の元気さが、一種の清涼剤のように機能して、そこまでアニメの雰囲気が暗くならなかったのも良かった。子供のキャラは、うるさすぎるとイライラするし、大人しすぎると子供らしくないので匙加減が難しいと思っているが、バランス感が素晴らしい。
不満は、上で述べた結末の部分が一番大きいかな。あとはソマリがゴーレムのことを父親だと言った理由や、ソマリが森の中で放置されていた理由など、大事な部分についての謎が分からないままで終わってしまったのも残念。原作を見ていないので分からないが、もしまだ原作でも判明していないのであれば、アニメオリジナルで設定を考えて欲しかった。
正直言えば、一番の不満点はオープニングの森山直太朗だ。アニメの雰囲気をかなりぶち壊しにしていたと思う。「何なんだろう」はこっちのセリフだよと言いたくなってしまった。
私には子供がいないのであれだが、もし子供がいる人が見たら、もっと感動するんじゃないかなと思う。寓話っぽいエピソードもあって、子供にも勧められると思うので、親子で鑑賞するのがオススメかな。
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