『球詠(たまよみ)』第8話「ゼロから」感想です。
前回あらすじ
埼玉県予選の組み合わせ抽選会。初戦は影森高校、そして次戦の組には強豪の梁幽館高校がいた。芳乃と息吹は影森高校の偵察に向かった。アンダースローの中山投手をエースとする堅守のチームだった。強力な選手は見当たらなかったが、情報がほとんどなく、不気味さを感じていた。芳乃が影森高校の調査をさらに進めていると、あることに気付く。そして初戦は詠深ではなく、控えピッチャーの息吹と理沙に登板させることを決断するのだった。
8話あらすじ
ついに埼玉予選が開始。開会式の前には梁幽館高校の2番手ピッチャーで、珠姫と中学時代バッテリーを組んでいた吉川和美と再会する。そこに詠深も現れ、2人は珠姫のパートナーにどっちが相応しいか張り合ってしまう。
影森高校戦。影森の攻撃。マウンドには理沙が上がった。緊張した白菊のエラーで1番バッターが出塁し、2番はバスターエンドランで2塁に走者を進めた。3番バッターのタイムリーで影森が1点を先制。その後は詠深のバックホーム好返球もあり、この回を最小失点に抑える。
その裏。新越谷の攻撃。影森の中山投手のスーパークイックモーションにタイミングを崩され、三者凡退に終わってしまう。試合のテンポが早いため、球審のストライクゾーンも広く、思うように試合を運べない。
影森のメンバーは野球の試合自体は好きではなく、試合を早く終わらせて身内で練習するために、スピーディーな試合運びをするようになったのだった。3回裏。白菊は剣道で活かした経験をもとにタイミングをうまく合わせ、ホームランを放つ。
5回表ではピッチャーが息吹に交代。中山投手のコピー投法で、中山投手を苛立たせるのだった。
読み合いの応酬
面白い。正直に言えば、野球はダラダラとして冗長なスポーツだし、サッカーのような形勢がコロコロ入れ替わるような緊迫感はない。でも野球にも醍醐味は当然あって、それはやっぱり選手やチーム同士の読み合いとか戦略の応酬だと思う。
『球詠』は相手がハイテンポの展開を強いてきたら、こちらもそれに乗るのか乗らないのかなど細かい戦略を、球審の心情なども加味しながら決定していくその過程がちゃんと視聴者にも把握できて、野球の醍醐味が存分に味わえる。しかも、凡打に終わるなどの冗長な部分はカットされていて、いわゆるハイライトシーンの詰め合わせなのだから、つまらないわけがない。
影森の新越谷に対してとことん無関心を貫く態度を、息吹にあえてコピー投法をさせることで、苛立たせるなどの精神攻撃も良い。一般的に野球アニメはどうしても超能力バトルっぽくなりがちだが、『球詠』はフィクションのいいところと、リアルの野球のいいところを上手くハイブリッドさせていると感じる。美少女百合アニメで終わらせるにはもったいない。
前回の感想で白菊が活躍してほしいと書いたけど、今回は見事ホームランを放った。偶然芯に当たったビギナーズラックっぽい感じだったが、タイミングを合わせるのに剣道の覇者という設定を出してくるのも、ハッタリが効いてて好き。
まあ惜しむらくはやっぱり作画で、今回は比較的安定していたような気はするが、それでも綺麗だとは言い難い。でも逆に原作を読んでみたくなった。原作の絵はすごく可愛いので。現実世界では甲子園が中止になってしまった。高校球児にとっては悔しいだろうし、そこまで野球好きでない私も、割と毎年観ているので残念ではある。『球詠』は完パケできているのか分からないが、甲子園と同じように途中で放送中止にはならないでほしい。
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