『球詠(たまよみ)』第12話(最終回)「悔いなく投げよう」感想です。
前回あらすじ
3回裏。9番の西浦は魔球をヒット。陽も出塁し、白井が塁を進め、高代はスクイズを試みる。珠姫はそれを読んでいたが、太陽の眩しさで失策し、満塁で中田に回ってしまう。ブーイングの中、新越谷は敬遠で押し出しを選択。続く笠原をダブルプレーに打ち取った。4回表。白菊の奇策のセーフティーバントもあったが、無得点に終わる。裏。ツーシーム主体で攻め、大田と吉川を凌ぐ。不運もあり2死1,3塁のピンチもあったが、緩急をつけたピッチングで無失点。5回表。2死2塁のチャンスも、希の打球はセカンドの白井のファインプレーにまたしても阻まれる。裏。走者なしで中田となり、勝負を選択。ところが、決め球の強ストレートを真芯で捕らえられ、ホームラン。全国レベルの実力を思い知るのだった。
12話(最終回)あらすじ
中田のホームランにショックを受ける新越谷。特に芳乃は采配ミスだと自分を責めていた。6回表。怜は気迫のスリーベースヒット。理沙は内野ゴロも、その間に怜がホームインして1点を返す。白菊は三振。息吹はフォアボールで出塁するが、詠深はセンターフライに打ち取られた。
6回裏。大田と吉川は連続三振。珠姫は中田のホームランで詠深がメンタルをやられたのではと心配していたが、逆に詠深は燃えて、珠姫がパスボールするほど球威も上がっていた。小林は珠姫の後逸で振り逃げ。西浦には進化した魔球を放り、これも後逸するが、1塁でアウト。
7回表。珠姫のセンター前ヒット、菫のフォアボールで無死2塁とする。芳乃は自分が采配しない方が、有利に進められていたのではと、ベンチ裏で涙を流す。希はそんな芳乃に、自分が以前に芳乃に励まされたことを伝え、芳乃は新越谷に必要だと熱く語り、微笑むのだった。
梁幽館は吉川からエースの中田に交代。中田の超高校級の速球に稜はバントを失敗。希の打席に回る。繋ぎの4番だと誤認していたことから、中田の油断を招き、待ち構えていた内角を振り抜き、スタンドに運んだ。3ランホームラン。新越谷が逆転に成功する。
7回裏。陽をセカンドライナー、白井をショートフライに打ち取る。高代にはレフト線のヒットを打たれ、中田との勝負になった。真っ向勝負で追い込んだ後に選んだ球は、さっきホームランを打たれた強ストレートだった。進化し続ける詠深の球に、完全に詰まらせファーストフライ。ゲームセット。新越谷の勝利で、詠深は公式戦初勝利となった。
希ちゃんの逆転3ラン
最終回。やっぱり希ちゃんはすごかった。「フォームが崩れるからホームランは基本的には狙わないけど、ここぞというときは狙う」とか芳乃の「いざというときに希ちゃんが勝負を避けられないように、5番にキャプテンを置く」というのが伏線になっていて唸らされた。希ちゃん好いとーよ。
芳乃と希の友情というか百合というかそんな関係も良かった。信頼関係とか相思相愛っぷりでは詠深と珠姫よりも深いかもしれない。希に最大の見せ場があったし、芳乃もずっと目立っていたキャラクターだけに、正直この2人が主人公でも違和感ないなと思ってしまった。
でも埼玉最強と名高い中田奈緒が油断したとは言え、あっさりホームランを打たれてしまうのは少し釈然としないものがある。奈緒の見せ場がほとんどなくて打たれに出てきてしまった感があるのはちょっと残念だった。あくまで打者としての才能の方が上なんだろうけど、もう少し早く奈緒を引きずり出すような展開の方が、投手としての奈緒の強さも見せることができたのかなと思った。
最後の詠深と奈緒の真っ向勝負では、敬遠の方がいいのに展開上仕方ないかと思っていたのだが、奈緒を歩かせるとその後代打攻勢になって、研究していない得体のしれないバッターが出てくる可能性があるからと理由付けがしっかりなされていたのは驚きだった。このセリフがあるかないかでフィクションとしてのリアリティーが全然違う。
全体を通しての感想
面白かった。きらら原作の野球アニメということで、日常系にちょっと野球要素を入れただけの、ゆるふわ野球ものかなと思っていたのだが、その予想はいい方に外れた。選手同士の読み合いや、試合の流れを読んだ采配など本格的な野球アニメだった。新越谷野球部の成長物語としての側面もあり、そちらも楽しみだった。
キャラクターも魅力的だった。博多弁がかわいい希ちゃんや、野球はド素人で、どこか抜けてるけど、特殊なコピー能力を持っている息吹ちゃんなど、特に好きになったキャラクターも何人もいた。何気にモブのキャラクターも可愛いし、みんな勝利に向かって一所懸命なので、どっちも応援したくなった。
内容はほとんど言うことがないほど満足したのだが、やっぱり問題なのは作画で、1話から最終回までずっと崩壊しっぱなしだったのは残念。詠深の投球シーンも何度も使いまわしていたし、違和感しかない入場行進や腕ぐるぐる運動など、モーション描写も厳しい。そもそもを言えば、キャラクターデザインが原作と全然異なっている。私はアニメのデザイン自体は、それはそれで嫌いではないのだが、原作のファンには不満かもしれない。作画さえ良ければもっと人気作になったのではないかと思う。
声優は新人が多いので最初棒読みなのが気になっていたが、途中からは気にならなくなった。私が慣れたのもあると思うけど、声優さんが少し上手くなったんじゃないかと感じる。それに作画や声優には苦言を呈したけど、そういう拙いところも逆になんだか愛せるようなアニメだった気がする。
新越谷の快進撃がこれでアニメでは観られなくなるのが寂しい。原作を買おうかなって思ったのは久々で、いいアニメだった。
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