『ぶらどらぶ』1話感想 好ましくない懐古趣味を感じた

『攻殻機動隊』や『機動警察パトレイパー』などを手掛けた世界的なアニメ監督の押井守が総監督、原作、シリーズ構成を務める新作アニメ『ぶらどらぶ』の第1話の特別編がYouTubeで無料公開されている。元々は2020年に放映予定だったが、新型コロナウイルスの影響で延期になっているらしい。視聴してみたので感想を書く。

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あらすじ

献血マニアの女子高生・絆播貢は、偶然ヴァンパイアのマイ・ブラド・トランシルヴァニアと出逢う。マイは故郷を去り、日本に辿り着いたが、血に飢えていた。貢は彼女の美しさに惹かれ、自分の血を提供することを決断した。しかし、ひとりで毎日の分を賄うことはできないため、保健教師の血祭血比呂の協力を仰ぎ、献血マニアの仲間を集めるべく、献血部を設立するのだった。

平成一桁台の雰囲気を感じる

押井守はアニメ好きなら誰もが知るビッグネームだから、否応なしにも注目を集めるだろうとは思っていたのだが、YouTubeの動画再生数を見ても4万再生にも満たない(12月22日現在)し、「ぶらどらぶ 感想」でググっても全くヒットしないという状況だった。もう押井守は過去の人物になってしまったんだろうか。かくいう私も押井守は別に好きでもなんでもないのだが。

それで『ぶらどらぶ』だけど、第一印象は平成一桁台にあったようなアニメだなというものだった。ノリがあの時代のギャグアニメだし、作中人物がアニメのキャラクターであることを認識しているメタネタが多用されていたり、無意味で露骨なお色気シーンが挿入されていたり、あの当時のアニオタが見ていたらバカウケだったに違いない。キャラクターも、当時かもうちょっと後の成人向けゲーム原作アニメのようなデザイン。しかし、今は令和の時代だし、やっぱり古くさいというネガティブな印象しかなかった。

これはあえてやっているのか、それとも制作陣の感性が古いままなのかは分からない(たぶん前者だと思う)けど、あまり成功しているようには思えなかった。今の若いアニメ好きが見たら、一周回って新しく見えるのだろうか。なにより『攻殻機動隊』や『イノセンス』などを産んだ押井守が総監督をしているとはとても思えない。そのギャップは注目を集めるかもしれないが、出オチのようなもので、やはりアニメの面白さにはつながらないと思う。

全体に懐古趣味が横溢している割には、主人公が女で、女のヴァンパイアに恋するという最近流行りの百合的要素もあって、何を狙っているのか判然としなかった。主人公もデザイン的には男っぽいし、声(佐倉綾音)も男の子っぽい感じになっているので、百合好きからにもそっぽを向かれそうな気もする。私も百合アニメ好きだけど、これはそういうアニメとしては見れない。普通に主人公は男じゃダメな理由でもあるのだろうか。今期アニメの『アサルトリリィ』も古くさい印象を受けたけど、そっちは狙いが分かるだけにまだ好意的に見られるが、『ぶらどらぶ』は一貫してない嫌な古くささだった。

よって、全体的にガッカリだった。まだ未完成なので、更にブラッシュアップしていくだろうけど、主軸は大きく変わらないと思うので、本放送になっても同じ感想になると思う。私だけに限らず、日本でこれがウケるとは思えないけどなあ。海外ではこういうのがウケるのだろうか。中国では『トニカクカワイイ』が流行ってるように、空から美少女が降ってくるアニメが人気なので、もしかしたらという可能性もあるかもしれないが。

作品情報

スタッフ
原作:押井守 / 総監督:押井守 / 監督:西村純二 / キャラクターデザイン:新垣一成 / 脚本:押井守、山邑圭 / 音楽:川井憲次 / 音響監督:若林和弘 / 音楽プロデューサー:Daisuke”DAIS”Miyachi / 制作:コミックアニメーション / アニメーション制作協力:Production IG

キャスト
絆播貢:佐倉綾音 / マイ・ブラド・トランシルヴァニア:日高里菜 / 血祭血比呂:朴璐美 / 渡部マキ:早見沙織 / 墨田仁子:日笠陽子 / 雲天那美:小林ゆう / 紺野カオル:高槻かなこ / 勝野真澄:三宅健太 / 岡田:石川界人 / 神原:綿貫竜之介

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