『ワンダーエッグ・プライオリティ』7話感想 リカと千秋は共依存なのか?

『ワンダーエッグ・プライオリティ』第7話「14歳の放課後」感想です。

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7話あらすじ



リカは母子家庭で、彼女の母親の千秋はバーのママをやっていた。昼間から飲んだくれる千秋を尻目に、リカは仲間たちに会いに行く。今日はリカの誕生日だった。リカはずっと父親に逢いたいと願っていたが、千秋は男をとっかえひっかえしており、だれがリカの父親なのか千秋にも分からずにいた。そんな母親を憎み、リカはアームカットを繰り返していた。異世界で、新興宗教団体に騙されて一家心中した女性に出逢う。リカもその教祖に洗脳されかけたものの、カメのラヴィに助けられたことで自分を取り戻し、母親との関係にも折り合いをつけるのだった。

母子家庭と共依存

前回はアイが学校に通うと沢木先生に告げたところで終わっていたので、今回はなぜ学校に通うと決断したのかという話に移行するのかと思ったが、全く違うリカの話だった。まさかアイはあれで一件落着というわけではないはずなので、後々話の続きがあるのだろう。今回はリカの家庭の話だった。前半パートのリカの家庭環境に焦点が当たっているときは、微妙な心情や空気感がよく出ていて面白かったのに、やっぱりバトルになると大味になってしまっていた。絶対バトルいらないと思うんだけどなあ。

それはさておき、リカは沢木先生が小糸と付き合ってたと言ったり、本当はアイのことが好きなんだと推量したり、ことあるごとに恋愛関係につなげようとしていたけど、あんな環境で育ったのなら、それも当然かなと感じた。日ごろ外では必要以上に明るく務めているのも家のことを忘れたいんだろう。どの少女も家庭の問題を抱えていて、母子家庭が多いのは『星合の空』というアニメを思い出す。

ねいるはリカのことを「共依存」と評した。共依存は「依存症者に必要とされることに存在価値を見いだし、ともに依存を維持している周囲の人間の在り様(厚労省)」のことで、ダメな男に対して「この人には私がついていないとダメなんだ」と献身的に支えるようなのが最も分かりやすい例だろうか。ただリカのケースは共依存っていうのだろうか。ねいるが言いたいのは「リカも母親を憎んでいるのに、ずっと一緒に住んでるのは結局両親から離れられないからだ」という意味なんだろうけど、中学生の少女に独立しろと言われても、それはどだい無理な相談だと思う。ねいるは思ったことをズバズバ言う性格を問題視していたけど、むしろねいるは年不相応に自立しすぎているから、世間の常識的なことが分かってない方に問題があるのではないか。むしろバトルが終わった後のほうが「母親を守ろうとする子供」という図式に支配されていて、よっぽど共依存関係になっていたと思う。

それにもし共依存をしているんだったら、アームカットではなくわざと目立つリストカットをして、千秋に自傷行為をしていることを見つけてほしいと思うのではないかと思った。とはいえ、母子家庭は共依存に陥りやすいという下地があると思う。母親は当然ながら子供を愛しいと思うだろうし、父親がいないから過保護になりがちだし、子供は頼りにできる人がひとりしかいないから、母親の顔色を伺って生活するようになることが多いと思う。アイもその傾向は多少ある。最後は、共依存を断ち切ってめでたしめでたしではなく、共依存関係でも今のところはいいじゃないかという結論に持っていくところが、ドラマ脚本家の野島伸司らしいとは思う。いいかどうかは別にして。

千秋の声は、野島伸司が寵愛している奈緒という女優だった。女優なので当然声優らしくない演技だったけど、気怠げな千秋の感じとよく合っていたと思う。最近は俳優や芸人でも声優を器用にこなす人が多いから、一般層にアピールしたいアニメは声優を使う意味はなくなってきているし、実際映画はほとんど芸能人が声を当てている。

今回はもうひとつの依存関係があった。異世界の中で出会った新興宗教に依存する女性で、今までとは少し毛色が違っている。最近は宗教ではないものの、甘い言葉で心の弱い人を騙して金を巻き上げるような人間が多くて嫌になる。誰とは言わんが、オンラインサロンとか開いている人とかバーチャルキャバクラやってる人とか。「女にお金を要求する男は全部ニセモノだって」というセリフがあったけど、女がとか男がとかいう話じゃないだろう。このアニメはなにかあれば「女はー」とか「男はー」とかジェンダー的な話に持っていくのが、どうも好きになれない。こういう脚本は古くさい。

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前回あらすじ

アイたちは夢世界でアンチと戦っていた。アカと裏アカは彼女らに助っ人をプレゼントする。アイの助っ人はカメレオンのレオンだった。アイの母親は、沢木先生と交際する予定であることをアイに告げる。いきなりのことに動揺を隠せないアイ。一方で、桃恵は沢木先生は悪い人物ではないと交際を歓迎する。アイはアンチと戦ったときに手に入れた数珠を思い出す。それは見えない敵を可視化するものだった。アイはそれを手にし、学校へ駆け、沢木先生に学校に行くと告げるのだった。

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