『キャロル&チューズデイ』第10話「River Deep, Mountain High」感想です。サブタイトルはアイク&ティナ・ターナーが1966年にリリースした曲。ドラマ『glee』の中で歌われたことでも有名。
前回あらすじ
第三回戦はGGKとマーメイドシスターズ。GGKのエレクトロニックで幻想的な世界観の音楽で審査員を魅了し、GGKが勝利。第四回戦はシベールとアンジェラの対戦。チューズデイの虜なシベールはコンビを組もうと持ちかける。チューズデイはシベールの押しの強さに拒絶できず、その態度がキャロルを苛立たせてしまう。しかしながら勝負はアンジェロの勝利。敗北したシベールは慰めてもらおうとするが、チューズデイがそれを拒絶したため、勝手に失望。捨て台詞を吐いてその場を去っていったのだった。
10話あらすじ
「MARS brightest」も準決勝。第1戦はGGK vs アンジェラ。GGKは準々決勝と同じく不思議な世界観を披露する。タオはそのGGKのパフォーマンスを見て、急遽アンジェラの曲目を変更。キュートでポップな『All I Want』を歌い上げ、新境地をアピールした。結果は意外性でアンジェラの勝利。
キャロル&チューズデイは準決勝第2戦に備えるが、楽屋にシベールが現れる。彼女は、チューズデイに対する執着した想いを発し、別れを告げて去っていった。シベールが危なっかしく感じたキャロルの制止も振り切り、チューズデイは彼女を追いかけてしまう。そして出番が迫っても、チューズデイはまだ舞台袖に現れず、キャロルやロディ達も探しに行く。
舞台上では、第2戦が進んでいた。ピョートルは準々決勝よりもセンチメンタルな自身の内面を歌い上げた。キャロルはようやくチューズデイを発見。しかし2人の行き違いは解消されないまま、出番の時間が迫る。
アンジェラの新しい一面
今までの『Move Mountain』は力強い女性像をイメージしたような曲だったが、今回の『All I Want』は一転して可愛らしい少女のような曲だった。このギャップが今回の勝因に繋がっていたわけだが、タオもそれを狙っていたのだろう。目指すは圧倒的な歌唱力というわけでなく、手持ちのカードで勝つ策略家のような印象を受ける。
一方で、キャロル&チューズデイはアナログで、信じるものは戦略ではなく自分自身である。AIの音楽はヒットするという目的で制作されるだろうから、世界の人々の嗜好の最大公約数的なものを弾き出すことには長けているかもしれないが、ある特定の人物に強く感銘を与えるものは難しいと思う。
その点では、このオーディション番組では審査員の3人を感動させればいいわけだから勝てる可能性はあるし、逆に負けてもキャロチューの音楽を好きになってくれる人が必ずいるはずだ。そういう魂に訴えかけるような音楽が奇跡の7分間に繋がるんじゃないかと想像している。
奇跡の7分間について
その奇跡の7分間なのだが、今までキャロチューの成功物語だと思って見てきたのだけど、キャロチューが本当に成功を収めるかどうか疑問に思ってきている。このオーディションでも負ける可能性があるんじゃないかと思う。AIと人間の作る音楽のどっちが上というわけでなく、商業主義でない音楽の復権のようなものを目指しているのではないか。最後は小さいライブハウスで、キャロチューが自分の好きな音楽をやる、そういうラストも素敵だと思う。
あと全然関係ないんだけど『All I Want』というタイトルと言われるとThe Offspringの曲を思い出す。
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