『キャロル&チューズデイ』第15話「God Only Knows」感想です。サブタイトルは1996年にザ・ビーチ・ボーイズが発表した楽曲。
前回あらすじ
プロデューサーを引き受けたトビーはデビュー曲のリリースを提案し、キャロルの家でレコーディングを行う。トビーの度重なるリテイクに疲弊しつつもようやくデビュー曲が完成する。キャロルはランドリーで見知らぬ輩に絡まれているところを再びダンに助けられる。ダンはキャロルの実の父親だった。ダンは刑期のために地球に帰還することになったが、全て片付いたらまたキャロルに会いにくると約束するのだった。
15話あらすじ
キャロル&チューズデイのデビュー曲『Army of Two』は多くの人々に受け入れられた。すると伝説のアーティストであるデズモンドから招待を受ける。
一方、チューズデイの母親のヴァレリーは大統領選の公開討論会に登壇していた。そこで秘書のスペンサーの制止も聞かず、地球と火星の貿易協定の破棄を公約に宣言するのだった。
デズモンドは卵型の建物に植物に囲まれて暮らしていた。内部に入ると、デズモンドが『Miserere mei, deus』を歌っていた。その歌声にガスとロディを含む全員が感動する。デズモンドは記念写真を撮り、キャロルとチューズデイをアーティストのサイン場へと案内する。
そこにキャロル&チューズデイのサインを刻んだ。するとデズモンドは『All I See』を歌い上げる。その後デズモンドは眠りについた。キャロル&チューズデイに人と人とが繋がって、デズモンドが永遠になれるように託しながら。
デズモンドの想い
デズモンドの言葉は、哲学的で抽象的であり全てを理解することは難しい。特に重要なのは
この出会いは、この一瞬は小さな輪。それが繋がり続けて、長いチェーンのようにどこまでも連なっていく。永遠ってきっとそういうことだと思う
にあると思われる。これはそのまま解釈すれば、1つの出会いが相手に影響を与え、その相手の出会いがまた別の人と出会うことでそれが永遠に伝播されていくというような意味だと思う。
しかしながら、この後にデズモンドは歌い、その後チューズデイの
このときの私たちはまだ知らなかった。歌える喜びと、歌うことの本当の意味を。
という台詞が挿入されている。これは『キャロル&チューズデイ』というアニメの最終的なゴールになるものと考えられる。そのゴールはすでに示されており、奇跡の7分間である。
そしてデズモンドの歌をバックに、ヴァレリーが地球と火星の対立を高らかに訴えた。よって、デズモンドの本当の想いというのは平和ではないかと考えられ、連なる輪というのは、その比喩ではないかと推測できる。
ではキャロル&チューズデイに託したものは、平和への祈念であり奇跡の7分間もこれに類するものではないか。歌で平和といえば真っ先に思い浮かぶのはマクロスシリーズで、おれの歌を聴けーではないが、キャロル&チューズデイの歌が原動力となって平和への一歩を踏み出すのではないかと想像している。
アバンのナレーションで「原動力」という言葉が使われていることは聞き逃せないし、『Army of Two』は「2つの軍隊」という意味だから、地球と火星を暗示しているとも思える。
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