『キャロル&チューズデイ』20話感想 音楽に託したエゼキエルの願い

『キャロル&チューズデイ(キャロチュー)』第20話「Immigrant Song」感想です。サブタイトルは1970年にレッド・ツェッペリンがリリースした楽曲。日本でもイントロがよくバラエティー番組などのBGMとして使われている。

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前回あらすじ

アンジェラはブラックナイトによるストーカー被害をタオに相談し、タオはボディーガードを請け負うことに。サイドニアフェス当日。AIを駆使して犯人の炙り出しをおこなうと、ひとりの男が容疑者として浮かび上がった。ところが、それはブラックナイトに利用されていた囮であることが判明。本物のブラックナイトはスタッフに変装してアンジェラに銃口を向けた。そこにタオが駆け付け、音響兵器でブラックナイトを気絶させた。ストーカーの恐怖も去り、アンジェラとアーティガンのパフォーマンスは会場を熱狂の渦に包んだ。圧倒されたキャロル&チューズデイは、不相応な派手な演奏を諦め、彼女ららしい素朴なパフォーマンスで会場を魅了した。

20話あらすじ

キャロル&チューズデイとアンジェラはマーズグラミーにノミネートされた。下馬評の高いアンジェラに勝利を収めるため地道に曲作りに精を出す2人。

一方、タオはヴァレリー大統領候補の支援を断ったために国策逮捕されてしまった。アンジェラは、タオが残してくれたアンジェラのクローンAIに楽曲を習うように指示されたが、自己を捨ててAIの言う通りにすることに嫌気がさし、ダリアと口論になってしまう。ダリアは急激なストレスにより、その場に倒れ込んでしまった。

キャロルは、地球で幼馴染だったエゼキエルと再び話がしたいとインスタグラムで連絡を取った。待ち合わせ場所にやってきたエゼキエルだったが、昔の幼馴染だった関係と今の関係は異なっていて、当時のように夢を語り合うことはできなかった。

エゼキエルは今の火星と難民の現状を訴える曲をリリースし、ムーブメントを作り出す。ところが彼も政府にとって厄介者とみなされ、過去の罪を掘り起こされ国策逮捕されてしまう。

その裏では、カイルとスペンサーがウェザープラントのテロ事件をヴァレリー陣営が起こしたものだという情報を掴み、ヴァレリー候補を糾弾する準備を進めていた。

音楽と反権力

ようやく面白くなってきた。たぶん最初からこういう話をやりたかったんじゃないかと思う。エゼキエルの楽曲『Crash The Server』は反差別、反ヴァレリーのメッセージ性の強い楽曲で、一時期話題になったChildish Gambinoの『This Is America』を思い出すような曲だった。

元々音楽は反体制として扱われることが多かったし、権力に対抗する手段として音楽活動を行ってきたという歴史は存在しているが、一方でその反権力というところから離れて現代音楽が形成されてきたという事実もある。

アニメでもマクロスシリーズのように歌が大きな力を持って世界を変革していくというアニメが過去にはあったが、最近の音楽アニメはいわゆるアイドルアニメで、せいぜい廃校を救うとか廃部を救うとかローカルな問題を解決するに留まっている。それは身近な方が共感が得やすいというのもあるし、音楽に求められるものが変化したということでもあるだろう。

だけど『キャロル&チューズデイ』は今の時代にあえて音楽と反権力の関係性を見直したのだと思う。今の欧米や日本などを取り巻くナショナリズムに対して歌で対抗するというのは古くさいかもしれないし、現実味がないかもしれないが、音楽の力を信じたいという願いにも感じられた。

アンジェラの葛藤

アンジェラはAIによるレッスンを拒否した。このAIはアンジェラから作られたもので、それに似せて作ったものであるから彼女自身ということもできなくはないので微妙なところであるが、AIによる支配からの解放自己の復元を求めての行為だったのだろう。

今まで彼女がキャロル&チューズデイを必要以上に敵視していたのも、彼女達がAIから解き放たれて自分自身の歌を歌っていることへの羨望や嫉妬心があったのかもしれない。もしかしたら奇跡の7分間ではキャロチューとアンジェラ(やエゼキエルなども含めて)が一緒になってセッションする展開が見られるかもしれない。

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