『キャロル&チューズデイ』第23話「Don’t Stop Believin‘」感想です。サブタイトルは1981年にリリースされたジャーニーの楽曲。
前回あらすじ
キャロル&チューズデイはクリスタルから今の閉塞的な闇を切り拓く光となるような歌を作って欲しいと求まれ、期待に応えるため2人は寝食を忘れて曲作りに没頭した。マーズグラミー当日。緊張でガチガチの2人をクリスタルが和ましつつ『After The Fire』を歌い上げた。新人賞を受賞したアンジェラは、ダリアが亡くなったという悲しみから癒える間もなく、ボロボロの身体をおして舞台に立った。そして歌い終わった後、アンジェラはその場に倒れこんでしまうのだった。
23話あらすじ
チューズデイは兄のスペンサーに、ヴァレリー陣営の参謀ジェリーがウェザープラントのテロ事件を仕組んだという証拠を手に入れたと告げられる。チューズデイは、公表する前に一度ヴァレリーと話し合うべきだと提案するが、カイルは握り潰される恐れがあるため信用するなと拒否した。
そんなとき、スキップが公務執行妨害で逮捕されたというニュースが入ってくる。彼は表現規制反対の曲を歌っていて、国策逮捕だった。
キャロル&チューズデイは閉塞感のある社会に危機感を感じ、音楽が脅かされていると考えて、表現の自由を訴え、火星中のアーティストでライブパフォーマンスを開くことをアーティガン達に提案する。彼らもそれに乗り、様々なアーティストへ声をかけて回った。
キャロル&チューズデイはアンジェラにも参加してほしいと願い、彼女の元を訪ねる。アンジェラは順調に回復しつつあったが、塞ぎ込むだけであった。アンジェラはケイティに、自分の存在意義について問う。もう歌えないと言う彼女の元にやってきたのはタオだった。
このアニメの主題はなにか
今まで移民排斥が最大のテーマになっていて、それをキャロル&チューズデイも危惧していた。しかし今回キャロチューの2人が、火星中のアーティストが集まって訴えたいのは、表現規制反対だった。
まあ、文化を取り締まる法案ってワード自体は確かに出てきていたが、主題はそこじゃないだろうと。地球と火星の対立に対して、火星中のアーティスト達が異議を唱えるのかと思ったら、音楽を続けられないから表現規制には反対って、音楽の力がものすごく矮小化されたような気すらする。
ちゃんと今の政府に対して反旗を翻すことを目的として開始しなければ軸がブレてしまう。それも今まで反権力的だったアメルやスキップが最初に提案するのならまだしも、彼らの仲間だったとはいえ、キャロチューの2人が提案する必然性が薄く感じる。2クールもあるんだから、もう少し時間をかけてスキップやアメルとの関係を掘り下げるべきだったし、キャロルは移民なので、彼女自身が体験してきた苦労や理不尽さをもっと描くべきだったと思う。
またヴァレリー自身はテロのことを知らないという設定も気になった。主人公2人の周囲の人物は完全に悪者になりきれていないところが、このアニメは中途半端だと思う。ヴァレリー自身がテロを仕組んでいたことを知り、チューズデイがそれに思い悩んで、火星アーティスト全員でのライブを立ち上げる方が納得できる。
同様のテーマを扱っているアニメに『コップクラフト』がある。そちらの感想で『キャロチュー』と比較したこともあったが、やはりストーリーとしての出来は『コップクラフト』に軍配があがるだろう。日本人だから移民問題はまだ身近に感じることはないが、欧米の方がこのアニメを見たらどんな感想を抱くのだろうか。
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