『Fairy gone フェアリーゴーン』第15話「裏町の草引き」感想です。
前回あらすじ
レイはツバルに出向くためにドロテアが警護に当たった。ヴェロニカは虎視淡々と復讐の機会を探るため、レイの乗る列車を追いかける。彼女は幼い頃に、レイによるスーナの村の焼き討ちを逃れた後、妖精学者のダミアンに拾われ、妖精兵となった。レイの列車は何者かに鉄橋が爆破され、脱線してしまい、一行は廃城へと誘い込まれる。そこにアーケイムの人工妖精が攻めてくる。混乱に乗じて、ヴェロニカも廃城内部へと潜入。一方、レイの元にはウルフランとミケル・コナーが協力者として現れていた。ヴェロニカはウルフランと戦闘に突入するが、マーリヤの姿を認めると、海に身を投げ、マーリヤもそれを追った。ウルフランはフリーに過去に詮索されると逃亡。マーリヤはヴェロニカを救出し、復讐をやめて一緒にいて欲しいと懇願するが、ヴェロニカはそれを聞き入れず、三度マーリヤの元を去るのだった。
15話あらすじ
統歴495年、レドラットは王の自害を以て降伏。王のために共に戦っていたフリーとウルフランは虚無感に襲われた。フリーはウルフランと袂を分かち、今は敵対する関係となったが、フリーに、アーケイムを離脱し、レイに付いたウルフランの真意は全く読み取れなかった。
レイを送り届け本部に帰還したドロテア。捕らえたアーケイム構成員のゲイル・ドープの尋問のために、フリーはアーケイム構成員で情報屋のアクセルを頼る。
アクセルがゲイルから聞き出した情報によると、クリストフ・ラーンという男がシュヴァルツのクーデターに関与しているという。彼はレドラット王の息子で、シュヴァルツに王宮の地下通路を教えていた。
ラーン家に乗り込むドロテアだったが、そこは既にもぬけの殻。行方を捜査していると、アクセルがクリストフの亡骸を発見したと通報が入る。積極的には疑っていないものの、ドロテアは念のためアクセルを捕らえる。
しらばっくれるアクセルだったが、実は彼がクリストフを始末していたのだった。
回想の方が面白いという珍しいアニメ
2クール目の2話までは回想中心の話で割と面白かったのだが、今回はフェアリーゴーンらしい回だった。
まず、ドロテアが急に本部に戻ってきて、1話分見逃したのかと焦った。レイ・ドーンを送り届けるところが丸々割愛されてて、前回の話はマーリヤ、フリー、ヴェロニカ、ウルフランを一ヶ所に集めたいがための話だったんだなと理解した。
次にフリーがウルフランの真意が分からず悩むのは良く分かるのだが、マーリヤは自身が災いの子であるというトラウマは10話で大体克服したと思ってたのに、なんで今さら悩んでるのかさっぱり分からなかった。ヴェロニカを取り逃したことを申し訳なく思ってるのなら、フリーと同時に悩んでいないとおかしいし、オズの死は既にフリーに説得されて乗り越えただろうに。
まあ誰しもふとした瞬間に思い出して、自責の念に囚われることはあるし、彼女にとって「災いの子」という鎖はそれほど大きいものなのかもしれないが、10話で一所懸命説得したフリーの立場があまりにもなくないか。それに今回はヴェロニカを結果的に取り逃がしただけで、懇意な仲間は誰も犠牲になっていないのに自分を責めるきっかけにするのは、大袈裟すぎると思う。
そして、クリストフ・ラーンという人物はポッと出のように思われるかもしれないが、実は8話で出ている。しかしワンカットでシュヴァルツと向かい合って何やら悪巧みをしているようなシーンだけなので、真面目に見ている方でも映像記憶能力を持っている方を除けば、覚えている人は皆無に等しいだろう。
今回の最大の見せ場は小物っぽいアクセルが実はかなりやばいやつで、その裏にはリスカーがいるらしいということだろう。アーケイムが瓦解状態にあるのもアクセルの暗躍があるのかもしれない。しかし、倒した相手がクリストフというモブキャラなので、やっぱり小物感が拭えない。アクセルがウルフランをやったとかだと、すごい展開だと思うのだけど。
『フェアリーゴーン』はなぜ分かりにくいのか
『フェアリーゴーン』はなぜ分かりにくいのかと考えたのだけど、このアニメの主軸は「マーリヤはヴェロニカを救えるか」ということと「フリーとウルフランの確執」だと思う。前の2話はこの主軸に沿うような話だったので高評価だった。だけど今回の話は、主軸にどう繋がっているのか全く見えない。シュヴァルツやレイの政治的画策という枝葉の方がメキメキと太ってきて、幹が全然育っていないように(実際はつながるかもしれないが)感じる。
やりたいことはいっぱいあるのだろうが、メインの話に集中して1クールをやり切る方が良かったのではないかと思う。前期まで放送されていた2クールのオリジナルアニメ『キャロル&チューズデイ』も結局テーマがコロコロ変わっていた。最近アニメが映画にシフトしているのも、短い時間でまとめる方が作り手側も作りやすいのかもしれない。
コメント