『Fairy gone フェアリーゴーン』第24話(最終回)「放たれた空 つないだ手」感想です。
前回あらすじ
神獣が復活。神獣は周囲を砂塵へ変えつつ街へと進撃する。マルコは自らその能力に巻き込まれ消滅した。ネイン対リスカーの戦闘は死力を尽くした果てにネインが勝利。一方、フリーとウルフランの戦闘は、フリーが勝利を収める。哀しみを糧に平和を追求すべきとウルフランを諭す。フリーは神獣の進撃を見守るグリフを発見。そこに改心したウルフランも現れ、フリーと共闘する。マーリヤとヴェロニカは神獣を追跡。マーリヤは神獣のやり場のない哀しみの声を聞いた。マーリヤは神獣を止めるべく、接近を図る。
24話(最終回)あらすじ
グリフはフリーとウルフランの連携攻撃に防戦を強いられる。妖精を出すもすぐに倒され、ペインシーラーをもフリーに破壊されたグリフにウルフランがとどめを刺した。
マーリヤは神獣へと接近。妖精武器が神獣の攻撃を無力化することを発見するも、多数の触手攻撃に阻まれる。
神獣に傷を付け、そこからヴェロニカの妖精ブラッドドーターを侵入させ妖精器官を破壊するという作戦を練るが、ヴェロニカが触手の直撃を受けてしまう。
風前の灯となったヴェロニカは悲しむマーリヤを砂塵攻撃から身を挺して守り、砂となってしまう。砂化したヴェロニカから出てきたのはブラッドドーターの元の妖精原体であった。
妖精原体はマーリヤの体内に入り、アッシュクラッドと合体。新たな妖精となる。
マーリヤのもとにフリーが合流。フリーは神獣に飛び込み一太刀を浴びせ、そこから新たな妖精が侵入して神獣を浄化した。
街は平穏を取り戻した。ドロテアやウルフランは失った大切な人を胸に平和に向けて再び歩み出す。
神獣との最終決戦
2クールだったフェアリーゴーンもついに最終回。グリフとの決着もそこそこに今回はほとんどが神獣との決戦に時間が割かれていた。まずヴェロニカの消滅に関しては個人的にはあんまり納得いっていない。ヴェロニカは罪を償うと言っていたけど、ヴェロニカってそんな悪いことしただろうか。
ヴェロニカが死んで罪を償わなければならないのならウルフランが生きているのはおかしいだろうと思う。まあウルフランの場合は生き続ける方が苦痛だという見方もできるのだが、少なくとも刑務所には入れないと話が整合しない。アクセルなんかウルフランに比べたら大したことやってないのに普通に捕まってるのは理不尽すぎる。
あとせっかくマーリヤは災いの子であることを克服したのに、結局ヴェロニカも死んでしまったら、やっぱり災いの子だったんだと思ってしまわないだろうか。気を衒わず生存エンドの方が良かったと思うんだけどなあ。
次に妖精合体。これはかなり意外な展開だった。私が把握してないだけだったら申し訳ないが、アッシュクラッドとブラッドドーターはなぜ合体できるのかの背景がないので、突拍子もなく感じた。妖精になんらかの共通点があれば(例えばどっちも妖精省が管理していたとか)合体にも納得いくのだが。
合体後は2つの能力を併せ持っていると考えられるので、ブラッドドーターの内部に侵入できる能力とアッシュクラッドの浄化能力を持っていると考えていいのだろう。この説明がなかったのは良かった。あったら興醒めだった。マーリヤが融合体になったから神獣にも対抗できるようになったという解釈もできるので、問題点はあるものの合体自体のアイデアは悪くなかったと思う。
あと気になるのは作画かなあ。最後までハイクオリティを保ってきてたのに、なんで最終話にぶっ壊れてしまうのか。ところどころ萌えアニメみたいな絵柄になってて全然話に集中できなかった。
どうでもいいけど、マーリヤがフリーのバイクを止めるところタクシーかよと思って笑ってしまった。あと背景の山々は立山連峰っぽい。
全体を通しての感想
まず良いところは絵が綺麗だった。最終話は批判してしまったが、全体を通して高いクオリティだった。PA Worksらしく背景も美しかったし、何より多くのアニメが落としている中、このクオリティで一回も落とさなかったのは素晴らしい。
他にも良いところはないわけではないんだが、どうしても粗が目立つアニメだった。まず最大の問題は物語の整合性が取れていないところで、キャラクターが意味のない行動を取っていたり、ご都合主義で無能キャラクターになってしまっていたり、時間の流れがめちゃくちゃになっていたり、当事者しか知らないはずの出来事を全員が共有していたりという矛盾が圧倒的に多かった。
元々、登場人物も多いし設定も複雑なアニメなのに、物語の整合性も取れていないから理解しにくい。私もブログを書いていなかったら、理解しようとも思わず、たぶん全く分からないまま終わっていたと思う。今でも理解できていないシーンが山ほどある。
話が破綻していても、キャラクターの魅力が補って余りあれば面白いアニメになるのだが、そのキャラクターも掘り下げが足りないので、愛着もあまり湧かない。せっかく2クールもあるんだから、エピソードをちゃんと取捨選択してキャラクターの過去話などをもっと入れるべきだった。どうも行き当たりばったりで作ったようにしか感じなかった。
例えば、私はスウィーティーとパトリシアのコンビが大好きなのだが、彼女らが黒の妖精書を求める理由は作中でチラッと触れられているけど、それだけに留まっていたので物足りなかった。この2人はサブキャラだからまあ仕方ないにしても、主要キャラのレイ・ドーンがスーナ焼き討ちを後悔した具体的な出来事とかも特に明かされないのは残念すぎる。
重厚な中世を舞台にしたオリジナルファンタジーをアニメでやろうとした気概は凄いし、それをやり切った情熱は買うが、内容が伴っていなかった。こういうファンタジーアニメは最初に最後までしっかり話を詰めてから、何度も推敲を重ねないと上手くいかない。通して見たら、製作者も制作陣も納得できないんじゃないかなあ。
まあ批判はしたけど、終わるのは少し寂しい。出来があんまり良くないけれど憎めないアニメだった。観るのはオススメはしないけれども、時間を損したとも思えない不思議。
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