『彼方のアストラ』第10話「CULPRIT」感想です。原作は未読。
前回あらすじ
キトリーとフニシアのDNAが完全に一致していた。このことで、アストラ号のクルーは全員クローンなのではないかという結論に至った。実際にカナタ達の父親および母親は、自分が老いたときに記憶を移し替えて若返るための器として、カナタ達を育てていた。しかし、ゲノム管理法が成立したためにクローンの存在を隠匿するため、宇宙空間に「廃棄」したのだった。カナタ達はショックを受けるも、自分達が帰還してクローン製作者を裁くことを新たな目標として一致団結する。そして、カナタ達の母星は地球ではなくアストラという惑星だったことが明かされる。
10話あらすじ
ポリーナとカナタ達は歴史の擦り合わせを行った。すると近現代においてカナタ達が学んだ歴史とポリーナが体験した歴史に齟齬があることが判明。地球は隕石により滅亡し、地球人はワームホールによってアストラ星に移住したのだとポリーナは考えていた。
最後の惑星ガレムに到着。最後の食糧採集をしていると、カナタが三たびワームホールに襲われる。辛くも逃げることに成功したが、最後の惑星で裏切り者が本格的に始末しにきたと考え、ついに裏切り者を指摘することを決意。
クルーに手伝ってもらい、裏切り者を罠に嵌めた。その裏切り者はシャルスだった。最初のワームホールに巻き込まれたとき、全員が巻き込まれるのを確認して最後に巻き込まれたのをアリエスが覚えていたのが証拠だった。シャルスは自分が内通者であることを認めるのだった。
内通者はシャルス
内通者はシャルスだということが明らかになった。今までの私の推理から消去法では消されていないメンバーであったので、それ自体はすんなり受け入れられたが、カナタの推理はかなり甘いように思う。
決め手がワームホールに巻き込まれたのが最後だというだけでは、シャルスを犯人だと根拠とするには弱いし、そもそもワームホールが出し入れ自由であることは憶測に過ぎず、それを前提としてシャルスを罠にはめるのは危険極まりない。
最後に巻き込まれたのが犯人とするためには少なくとも犯人が全員を処分するという意思が前提になるが、それは通信機を壊されたことによるアリエスの予想でしかなく、本当に正しいかは怪しい。実際に途中からシャルスの手段は各個処分となっており、最初と手段が異なっていて、シャルスの意図を把握できない第三者にとってはどちらが本来の目的なのかの判別はできないだろう。つまりワームホールが本当に人為的なものなのかを確定できない。
結果的にシャルスがボロを出して犯人が決定することになったが、この罠にかけるパターンはあまりミステリー的には美しくなく、自白頼りの面が強いのでカタルシスが薄い。
地球とアストラの歴史の違い
惑星アストラの歴史では、1962年にアメリカとソ連が第三次世界大戦で人類の半分を喪失。翌年、世界連邦が樹立されたとなっているが、一方でポリーナの語った地球の歴史では、2049年に7年後に地球に衝突する巨大隕石が発見され、他惑星への移住計画が始まったとされている。
ただし現在は2063年であるため、14年で今のような文明が築けたとは到底思えない。ここが矛盾になっている。矛盾を解決するいくつかの方法を考えてみたのだが、ワームホールの特性を使うのが最も座りが良いような気がする。
ワームホールは空間だけでなく時間も移動できるため地球からアストラ星に移動した際に2049年から1962年にタイムスリップしたと考えればいい。そこで架空の第三次世界大戦をでっちあげれば時間の整合性は取れる。
まあ地球の西暦とアストラ星の西暦が単純に異なるということも考えられるし、自転周期や公転周期が異なるので一年の長さに違いがあるとも考えられる。実際のところあまり大した問題ではない。
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