『彼方のアストラ』11話感想 カナタの行動について思うこと

『彼方のアストラ』第11話「CONFESSION」感想です。原作は未読。

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前回あらすじ

カナタ達が学んだ歴史とポリーナが体験した歴史に齟齬があることが判明。ポリーナによれば、地球は隕石により滅亡し、アストラ星は地球人が移住していた。最後の惑星ガレムに到着。カナタが三たびワームホールに襲われ、地球を目前にして行動が本格化してきたことを考慮し、ついに裏切り者を指摘することを決意する。カナタが指摘した裏切り者はシャルスだった。そして、彼は自分が内通者であることを認めるのだった。

11話あらすじ

シャルスはヴィクシア王ノア・ヴィクスのクローンだった。ノアが年老いたときのリペアとして育てられ、シャルスもその使命を全うするように洗脳されて育った。

成長したシャルスは王女であるセイラの付き人を任される。セイラが平民の子というのはシャルスの嘘であった。セイラもノアにクローンを勝手に製作されていたが、セイラはそれに反対。代理母とクローンを王国外に逃亡させた。

そのクローンがアリエスであり、代理母がアリエスの母親のエマであった。シャルスはアリエスに出逢い、全員始末の計画を変更。アリエスだけは救出するという目的を持った。

カナタ達はシャルスを説得するが、シャルスはもう後戻りできないと自分を追い込んでしまう。そしてワームホールで自爆を試みる。カナタは走高跳の要領で、ワームホールを飛び越え、シャルスを救出。しかしカナタの右腕がワームホールに飲み込まれてしまった。

シャルスは涙を流し、自責の念に駆られるが、カナタは自分の右腕となってくれとシャルスを責めることなく、彼を許し続けるのだった。

シャルスの真の過去

セイラは平民の子ではなくて、本当は王女だった。これはシャルスの嘘だということになるが、シャルスの発言が嘘だということを、視聴者が検証することは難しかったように思う。私が過去の感想で「平民なのにクローンが作れるのか?」と疑問を書いたことがあったが、この世界における平民の立ち位置というのがはっきりとは分からないので、それだけで、シャルスの発言は嘘だという結論に至るのは難しかったように感じる。アリエスとセイラが同一人物の可能性もあったし。

それで気になるのは、ザックが全員クローンだと指摘したときに、アリエスを貴族のクローンだと言ったシーンである(9話)。ザックはアリエスの過去を知らないはずなので、アリエスが貴族のクローンであることを知らないはずなのに、なぜ彼女が貴族のクローンだと分かったのだろうか。ここからシャルスとザックの共犯説というのも考えられるが。

自己犠牲精神について

カナタが腕を失ってもシャルスを説得するシーンは感動する人は多いと思うし、右腕になってくれが伏線になっているところに驚く人も多いとは思う。それ自体を否定するわけではないが、だけど個人的には、自分を犠牲にしてでも他者を守るという展開はあまり好きではない。

自己犠牲精神は美談として語られることが多いし、たくさんの人の胸を打つのは分かるが、褒められるべきものではない。たとえば駅伝で自分が選手生命を賭けてでもタスキを繋ぐ選手とか、甲子園で腕がぶっ壊れるまで投げるピッチャーとか、そういうのを美談にするような時代はもう終わっている。

『彼方のアストラ』は少年漫画だし、『スケットダンス』の作者なので、どうしてもこういう展開に最後はなっちゃうのだろうとは思っていたのだが、やっぱり今回の話は好きになれなかった。もちろん、SFサスペンスとしては上手くできていると思うし、ミステリー的にも少年誌らしからぬ本格派なので、その部分は面白かったし、評価はしていることは付け加えておきたい。嫌なら見るなと言われればそれまでだが、小中学生には、あまりカナタに感化されすぎないでほしいなと思う。当然仲間思いだったり諦めない心を持っていることはいいことではあるが。

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