『彼方のアストラ』12話(最終回)感想 再び旅立つ未知の世界へ

『彼方のアストラ』第12話(最終話)「FRIEND-SHIP」感想です。原作は未読。

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前回あらすじ

シャルスはヴィクシア王ノアのクローンで、王のリペアとして育てられた。彼は王女であるセイラの付き人を任される。セイラもノアにクローンを勝手に製作されていたが、クローン技術に反対するセイラは代理母とクローンを王国外に逃亡させた。そのクローンがアリエスであり、代理母がアリエスの母親のエマであった。シャルスはアリエスに出逢い、全員始末の計画を変更。アリエスだけは救出するという目的を持った。自爆を企むシャルスに対し、カナタは説得を試みる。しかしその過程で、カナタの右腕がワームホールに飲み込まれてしまった。シャルスは涙を流し、自責の念に駆られるが、カナタは自分の右腕となってくれと、彼を許し続けるのだった。

12話あらすじ

惑星ガレムでの食糧採集を終え、アストラ星への最後の航行に出る一行。シャルスはアストラ星と地球の本当の歴史について語り出すのだった。

地球に小惑星が激突するということが判明し、地球の移住先を探索し始めた。その時に候補に挙がったのがアストラ星であり、ワームホールを使用して土木機械や人員を送り込み、開発を続けた。しかし、地球移住計画が公に明らかになると、各国は移住先での領地争いを始める。それは核戦争に発展し、人口の半分が失われてしまった。

残った人類は平和を希求し、国家を撤廃し、アストラ星で新たな統一政府を作り上げた。そのときに地球の文明レベルとアストラ星の文明レベルを合わせるために西暦を100年戻し、100年分の歴史と移住計画自体を全人類ぐるみで隠蔽した。

真実を知り愕然とするクルーだったが、アストラ星の本当の歴史を伝えることが重要だと考え、政府に知られるリスクがありながらも、アリエス達はエマにメールを送った。

ついにアストラ号はアストラ星にたどり着いた。しかし、数隻の宇宙船がアストラ号が接近してきた。身構えるクルーだったが、それはカナタ達を保護する船であった。

アストラ星に降り立つと一躍英雄になったカナタ達。クローンの製作者は全員警察に逮捕され、罪を償うことになった。社会にとっても歴史が改竄されていたことは衝撃だったものの、アストラ号の冒険を綴ったカナタの小説は人々を前向きにさせた。

7年後。ウルガーはジャーナリスト、シャルスはヴィクシアの王、ユンファは歌手、アリエスはカナタと結婚し、それぞれの道を歩み始めた。そしてカナタとザックとシャルスは再びアストラ号に乗って冒険の旅に出発する。未知なる世界へ。

アストラ星の本当の歴史

最終回。最後に残っていたアストラ星の本当の歴史の謎が明かされた。これに関しては、現代社会において全員の口を封じるというのはあまりに現実的ではないけれども、きっと真実を語ったものは処刑されるなりなんなりの実力行使があったんじゃないかと思う。

また、一警官にカナタ達の生存が伝わったところで、現実では政府に握りつぶされて終わるだろうし、カナタ達を始末しにやってくるのは間違いない。メールが送れるのであれば、インターネットにそのメール文面を載せるように求めるのが最も効果的だったようには思った。

『彼方のアストラ』総評

第1話と最終回は1時間。OPやEDを飛ばしてストーリーを詰め込んでいて、かなり濃密なアニメになっていた。多分製作もこれに結構賭けていたんじゃないかなあ。実際にクオリティーは高かったし、私のように原作未読の人にも楽しめるアニメだった。

私はミステリーとして見たが、いろんな書評では本格ミステリー(読者が謎を推理して解明できるフェアなミステリー小説)と言われているところもあったが、本格とまではいかないかなと思う。部分的に矛盾しているようなところもあった。でも伏線の張り方は上手いなと思ったし、すべてを全く推理できないわけではないので、本格だという人がいるのも理解できる。

SFと名乗っているのに、未知の惑星の可食判定機なんかおかしいとかそういうところに突っ込む人がいるのだが、これはハードSFではない。ハードSFならば超光速航行の原理とかワームホールの原理とかもしっかり描かなければならない。そこをオミットしている時点で、ハードSFを基準に評価するのは間違っている。ハードSFは少年誌にはハードルが高すぎる。

あくまで少年誌なので、結末もハッピーエンドだし、リアルに欠ける部分もある。個人的には少年誌的なというか『スケットダンス』的な説教くさい話は好きじゃないのだけど、それは私が悪いだけで、このストーリー自体は良くできていると思う(自分だったら途中で脱落者を出したり、アストラ政府に歓迎されない結末にするかもなあとは思ったが)。

最も合わないと感じる人が多いと思われるのが、時折挟まれるギャグで、シリアスなシーンにも急にギャグを入れるのでムードがぶち壊しになる。あまり暗くなりすぎないようにすることを狙ってだとは思うが、もうちょっとシリアスとギャグのメリハリがあっても良かったように感じた。

全体的には面白かったし、ギャグはあるとはいえ割と万人にウケるようなアニメになっている。問題は最近こんな感じの秀作は売れなくて、絵が綺麗なだけのアニメとかキャラ人気だけのアニメが売れることが多いので、それが残念なことだと思う。

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