『警視庁特務部凶悪犯対策室 第七課 トクナナ』第4話「四人の家族」感想です。
前回あらすじ
品川のオフィスビルに爆弾魔(通称B)によって4つの爆弾が仕掛けられた。3棟のビルで爆発物を発見。爆破物処理班を要請するが、謎の男の狙撃に遭って品川に辿り着けない。爆弾には爆発規模を増大させる魔術が張り巡らされており、緊急を要するためトクナナが処理にあたることに。複雑な機構の上に、時限装置が短縮されるという仕掛けに苦しめられるが、栞、クジャク、紅音が解除に成功。残った爆弾を経験のない清司が処理することになり、パニックになりつつもなんとか解除する。ところが、謎の男の遠隔操作により魔法陣が暴走。魔術は、清司が身体を張って止め、栞は魔法陣の中心に銃弾を撃ち込み停止させることができたが、事件の裏にはナインの首謀者であるウォーロックと謎の男が暗躍していた。
4話あらすじ
江口という男の運転する車が突如炎上するという事件が発生。江口の息子に1億の保険金が掛かっており、さらに江口は、2年前に2人の子供を事故で亡くしているため、彼が容疑者として浮かび上がった。
今回は清司とクジャクがペアとなって捜査に当たる。ディーラーの後藤や保険外交員の佐々木の話も聴取するが、江口の異常な様子が露わになるだけであった。
江口の部屋を訪ねると、息子が大切なので保険金を掛けたとして自身にかけられている容疑を否定。クジャクはその言葉を信用できないでいたが、清司は江口が犯人ではないと直感していた。
江口の息子のいる病院に清司がお見舞いに向かうと、ベッドの下に時限爆弾が仕掛けられていた。清司は息子を抱きかかえ3階から飛び降りなんとか救出する。
その後、車には発火装置が仕掛けられていたことが判明。発火装置はベッド下の爆弾との機構が一致し、さらにBとの類似点も見つかった。Bのビル爆破テロ未遂事件時に、江口はアリバイがあることが判明し、江口は容疑から逃れる。後藤の足取りを追跡すると、納車までに空白の時間があることが分かる。
後藤が再び江口の息子のベッド下に爆弾を仕掛けようとしていたところをクジャクが現行犯逮捕。ドラゴンの存在を仄めかされ、激昂したクジャクは後藤を撃とうとするが、清司がそれを止めた。正義について説かれたクジャクは銃を降ろした。
推理部分が稚拙
最重要容疑者が実は犯人でなく、意外な人物が犯人に至るというミステリーらしさは感じられるが、その犯人に至るまでの推理がおざなりすぎる。車の発火装置の機構が判明した時点で、前回のBの爆弾のことも当然思い浮かぶべきだし、Bとの関連にトクナナの全員が気付かなかったというのは流石に厳しい。
またアリバイを確認しているが、アリバイがないならば即犯人ではないとは言えず、それだけで江口を容疑者から外す論拠に乏しい。今回の場合は納車時に後藤が不自然な動きをしているという一点が重要であり、特にアリバイの確認は(工作の可能性を考えないのなら)不要だったと言える。
また後藤が何の関連もない子供を数回に渡って狙ったのは失敗は許せない完璧主義者だからという推理があったが、完璧主義者であれば、自分が捜査線上に確実に浮かぶであろう販売した車に発火装置なんか付けるだろうか。手っ取り早くやりたかったにしても適当に路上駐車している車の下にでもつけた方が早い気がする(内部には付けられないが)。
あと江口は本当に息子のことを心配に思っているのなら家にいるのではなく、病院にいないとおかしいのではないか。最初は面会時間じゃないのかなと思ったのだけど、清司は普通に面会に行っていた。そもそも息子に多額の保険金を掛けることが息子を大事に思っている意味がわからない。息子が大事なら自分に多額の保険金を掛けるだろう。これが伏線で結局江口が犯人かと思っていたのだが、その後に大量の証拠が出てきて全部ひっくり返された。
今回は魔術の出番は特になかったが、前回、魔術を出したせいで何でもありになっているのもきつい。可能な魔術と不可能な魔術をちゃんと定義しておかないと推理する意味がなくなってしまう。どんな魔術でも使えるなら今回の推理も完全にひっくり返ってしまう可能性がある。一度出した設定は風呂敷が大きければ大きいほどずっと苦しめることになる。
栞の相棒と謎の男
クジャクは栞と確執があるような感じだった。栞が相棒を見捨てたと言っていたから、元の相棒はもうトクナナにいないのだろう(これもなんだか『DOUBLE DECKER!』に設定がよく似ている)。
今のトクナナを見ると、「一」ノ瀬、「二」条、「四」季彩、「サンク(CINQ)」、「六」輔、「七」月と3の数字が抜けている。つまり栞の元相棒は三の付く人物だったのだろう。
では、その三の付く人物は誰だったのかと言えば、たぶん、エアポートテロ事件で七月を救った男だと思う。エアポートテロ事件がトクナナ全体に影を落としている印象がある。また、これは想像だが、その三の付く人物は、今はナインの謎の男になっているのではないか。この男に名前が与えられていないのはすごく怪しいし、何より七月を救った男と謎の男の声優が松岡禎丞と一緒だからだ。また1話では、七月を救った男はキャストに記載されておらず、謎の男として記載されている。もし予想が合っていたら、個々の推理は適当なのにそういうところは妙にフェアだなと思う。
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