M-1グランプリ2020の感想です。司会と審査員は前回大会と変化せず、MCが今田耕司と上戸彩、審査員は上沼恵美子、松本人志、サンドウィッチマン富澤、立川志らく、中川家礼二、ナイツ塙、オール巨人の7人。
ファーストステージ
インディアンス(敗者復活戦)
トップバッターが敗者復活となった。初めてのケース。人気投票なので、ぺこぱが決勝に上がってくるかと思ったけど違った。票数も発表されてなかったので、本当に人気投票だったのだろうかとちょっと訝しんではいる。ボケの田渕がボケ倒すという漫才だけど、早口過ぎてこのボケは面白いかどうかを判断する前に次のボケに行ってしまってて、ネタ全体として面白いのか面白くないのかすらよく分からなかった。アンタッチャブルから更に手数を増やしたような漫才だけど、ツッコミの能力が柴田くらいないと成立しないと思う。
東京ホテイソン
審査員からは結構酷評されていたけど、私は面白かった。ツッコミとボケの声量のバランスが悪いとか色々言われてたけど、あのツッコミじゃなきゃ東京ホテイソンじゃないと思うし、ぜひこのまま続けてほしい。オール巨人は理解するのが難しいとも言っていたけど、私からするとインディアンスのほうが難しい。そもそも理解するんじゃなくて、ツッコんだあとにそういうネタだったのかと気付くのが面白いんで、オール巨人のはネタの見方が間違っているんじゃないかと感じた。まあ何か言うとすれば、アンミカってのはそれ自体がおもしろワードだから、漫才としてのネタの面白さではないというのがあるかもしれない。でも最下位はありえん。
ニューヨーク
前回の「ラブソング」ネタはネットでも酷評されてたけど、私は割と好きだった。今回はニューヨークらしいブラックなネタだったけど、ちょっと攻めすぎてて観客も引いていたような感じがあった。立ちションとかマッチングアプリで人妻とどうこうは笑えるけど、飲酒して自転車運転はちょっと笑えないわ。軽犯罪ではない。もっと芸能人をいじるとかそっちのネタのほうが良かったような気がする。「多目的トイレでマッチングアプリで知り合った人妻とやって、拾った1万円で支払った」とかやるかなと思ったのに。
見取り図
今回の出場者の中では最も漫才らしい漫才だった。いつもの見取り図のネタよりも更に手数を増やしていて、M-1優勝用に仕上げてきたような印象を受けた。伏線回収など漫才のテクニックも巧みで、もしM-1が本当に漫才の大会だったら優勝だっただろう。でも個人的には去年のネタの方が面白かったな。
おいでやすこが
ピン芸人同士の即席コンビということで、あんまり期待していなかったけど面白かった。ボケ自体は全然面白くないし、ツッコミのワード自体が面白いというわけでもないんだけど、おいでやす小田のキャラクターがとにかく笑える。ツッコミの間と声量と怒り具合が絶妙。ツッコミが分かってても笑ってしまう。これからコンビでも精力的に活動してほしい。
マヂカルラブリー
上沼恵美子へのリベンジ。フレンチレストランのネタは見たことがあった。一昨年の敗者復活戦で披露していた気がする。そのときも笑ったけど、今回も2回目だけど面白かった。最初のガラスをぶち破るところが一番面白いから後半尻つぼみになる印象を受けるんだけど、最後が滑り倒すというボケで、あえて勢いを失速させているので、ネタそのものが失速している感じがないのが上手い。
オズワルド
最も期待していたコンビだったが、あまり面白くなかった。残念。オズワルドには最初静かに入って、途中ツッコミが声を荒げるという緩急を見たいんだけど、ツッコミの伊藤が最初から声を荒げていたのがガッカリだった。M-1で静かなコンビは優勝しにくいから変えてきたんだろうけど、オズワルドの良さを捨てていると思う。松ちゃんも同じような指摘をしていて嬉しかった。
アキナ
単純に面白くなかった。アキナは賞レースでよく見るけど、どの大会でも似たようなネタで正直見飽きたというのもあるし、40歳にもなって同級生の女の子が好きで素直になれないというようなネタは流石に厳しいものがある。大学生が学園祭とかで披露すればウケると思うけど。スキルは高いと思うので、博多華丸大吉のように年齢に合わせたネタに変えていくべきだと思う。
錦鯉
くだらなすぎて笑える。レーズンパンのギャグの天丼はYes!怪奇どんぐりRPGのネタを思い出した。パチンコのネタというのも49歳の哀愁を感じさせる。アキナには錦鯉の生き様を見習って欲しい。決勝に出たからいろんな営業などでも呼ばれるようになるだろうし、継続は力なりだと思った。でも最初のM-1の理念だった「10年やって芽が出ないやつはお笑い向いてない」ってのとはだいぶ違ってきているが。
ウエストランド
時折面白いんだけど、全体として見るといまいち。自虐よりももっと他人を攻撃するようなネタをやってヒールに徹して欲しかった。ボケの方が何回も噛んでるのはちょっとどうかと思う。井口が相方を変えればもっと売れそうな気はする。爆笑問題とくりぃむ上田が井口が滑ってるの見てバカ笑いしてそう。
最終決戦
漫才として評価するなら、見取り図一択(というかそれ以外は漫才かどうかすら怪しい)なのだけど、その見取り図のネタが優勝するほどではないウケ具合だったせいで、漫才なのかなんなのかよく分からないマヂカルラブリーが優勝してしまった。
私はマヂカルラブリー好きだし、最後の電車のネタは今回のM-1決勝戦で一番腹抱えて笑ったけど、あれが優勝でいいのかというのはどうしても考えてしまう。おいでやすこがは、そもそも最終決戦にまで進むことを想定していなかったんじゃないか。ちゃんと2本目のネタをしっかり作ってきていれば優勝していたかもしれない。漫才のテクニックは漫才師には敵わないと謙遜してたけど、歌っている間に突っ込むのは難しい(と以前ナイツ塙が言っていた)ので、テクニックもあるんじゃないか。
野田クリスタルはこれで粗品に次いでM-1とR-1の2冠になった。そしてマヂカルラブリーはキングオブコント決勝にも出場経験があるから、何気に賞レース最強芸人になっている。どの舞台でも活躍できるってことは技術がないとできないんだろうけど、その技術を持ってM-1の最終決戦でやるネタが、揺れの激しい電車に乗って自分の顔に小便かかるというくだらなさ。最高にバカ(褒め言葉)だわ。
まとめの感想
昨年のM-1がめちゃくちゃ盛り上がったので、今年も期待していたのだけど、全体的に盛り上がりに欠けた。ミルクボーイのような爆発したコンビがいなかったし、キワモノな芸人が多かったので漫才大会らしくないというのもあったかもしれない。上戸彩の髪型とノースリーブを見れただけで満足はしたけど。私がファーストステージの10組に点数をつけるなら
インディアンス 85
東京ホテイソン 92
ニューヨーク 92
見取り図 93
おいでやすこが 96
マヂカルラブリー 93
オズワルド 87
アキナ 80
錦鯉 91
ウエストランド 90
かな。決勝に進んだ3組には全く文句はない。
今回、上沼恵美子がすごく大人しかったのが残念だった。点数も全然差がついていなくて、いてもいなくてもいい存在になっていた。ネットで散々叩かれたのを気にしているのだろうか。ネットの意見なんか無視して自由奔放にやってほしいのに。来年からは本当に出ないんじゃないかという気がする。オール巨人も出ないかもしれないな。
YouTubeにアップされていた予選の動画もちょっと見たけど、真空ジェシカが面白かった。ぜひ来年は決勝に上がって欲しい。
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