なぜロボットアニメは衰退したのか?人気がなくなったのか?

世の中には様々なジャンルのアニメが存在する。日常系、異世界ファンタジー、SF、ミステリー、ラブコメなど枚挙に暇がないが、その中に最も日本のテレビアニメ史で歴史があると言ってもいいジャンルがある。ロボットアニメである。

週1回放送の30分番組という後のテレビアニメの基本形態を初めて導入した『鉄腕アトム』はSF作品ではあるが、広義のロボットアニメでだった。その後、様々なロボットアニメが放映され、子供達から大人まで楽しませてきた。

しかしながら、ロボットアニメは最近衰退している。本数が減少したというわけではなく、ヒット作が出なくなってきている。2015年以降に発表された新作ロボット作品の中で話題になったのは『ダーリン・イン・ザ・フランキス』と『新幹線変形ロボ シンカリオン』と『SSSS.GRIDMAN』くらいだろうか。

そのほかにも面白いロボットアニメがたくさんあると思うが、話題にならない。私はスパロボが好きだったし、ガンダムも好きなので、ロボットアニメの人気が出ない現状は少し寂しい。この記事では、なぜロボットアニメが衰退したのかを考えたい。

スポンサーリンク

ロボットアニメのレゾンデートルの変化

ロボットアニメはずっと玩具の販促目的として作られてきた。例えばガンダムは本当は真っ白にしたかったが、スポンサーのクローバーの要請でトリコロールカラーが付けられたものだし、多彩なモビルスーツもGアーマーとの合体機構もスポンサーの要請で作られた設定だ。つまりロボットアニメは30分枠のコマーシャルと言ってもいい。

しかしながらテレビゲームや他の遊具が次第に増えていき、ロボット玩具は次第に売れなくなっていく。その中で出てきたのが『新世紀エヴァンゲリオン』であった。現在主流の製作委員会方式の嚆矢となるような作品で、収益を玩具ではなく本編放送後に発売される円盤で回収するというビジネスモデルが確立した。

エヴァのヒットにより観念的で難解なストーリー性を重視したロボットアニメが増加していった。しかし販促アニメから脱却した結果、メカを目立たせる必要長くなったために、ロボットアニメの本質にあるはずのメカのかっこよさが失われてしまった

メカよりも人間模様にフィーチャーした作品が増え、ロボットアニメとしての必然性を失い、子供達およびロボットアニメファンが離れていったのではないか。実際に販促アニメとして放映している『新幹線変形ロボ シンカリオン』は子供達にも大人にもヒットしている。

子供の嗜好の変化

上記に関連して、子供(大人も含むかもしれないが)がもうロボットに対して興味がなくなっているのではないか。数十年前まではロボットといえば夢の技術だった。1970年の小学生のなりたい職業ランキングの1位はエンジニアだったことからも、機械技術に対する憧れが見て取れる。

現在は、物心ついたときからパソコンやスマホに囲まれ、AIを搭載した様々なロボットが生活に浸透している。その時代において、メカに乗り込みドンパチやるようなロボットアニメは、あまりに幼く見えてしまうのではないか

最近の戦隊ロボシリーズもメカ自身のかっこよさを追求したものよりも、様々なギミックを搭載して玩具になったときにプレイバリューが高くなるようなデザインを設計している。それは逆説的にロボット自身の魅力が伝わりにくいための苦肉の策とも言えるだろう。

アニメのメインストリームの変化

近年ヒットするアニメはアイドル物や日常系美少女動物園などの作品が多い。そこには戦争という重苦しいものはなく、ユートピアのような生活が描かれている。また、なろう系アニメも異世界に転生して、努力をすることがなく無双するというストーリーが好まれている。つまりアニメはお手軽な現実逃避の手段になっていると言える。

そのようなアニメとロボットアニメは相容れないだろう。もちろん明るいロボットアニメもないわけではないが、多くのものは人の生死を扱っているし、主人公は何度も挫折を繰り返して世界を救おうとする。そのような泥臭いアニメは視聴者にもはや好まれない。

アニメがユートピア的になったのは、度重なる災害と日本に蔓延する漠然とした不安感の影響が大きいと考えている。現実の生活に自信が持てなくなった結果、アニメやテレビ番組でそれを取り戻そうとしているのではないかと思うが、ここに関してはこの記事の範疇ではないのでこれ以上は触れない。

まとめ

ロボットアニメが衰退した理由を考えてみた。しかし衰退したとは言っても、ガンダムやエヴァのように社会現象となるロボットアニメが再び誕生すれば、パラダイムシフトが起きて、ロボットアニメは復権できるだろう。そのようなアニメを期待して待ちたい。

コメント

タイトルとURLをコピーしました